東京地裁,丸紅の元社員がリーマン・ブラザーズの関連会社に事業への投資を装った詐欺を行ったことから,リーマンの関連会社が丸紅に使用者責任の追及をした訴訟で請求を棄却


使用者責任はほとんど無過失責任と化しているというのは,民法の教科書でよく出てくる話です。内田教授は戦後の判例では免責された例はないとされています。

そのような使用者責任の追及で請求を全面棄却するという裁判例が出ましたので取り上げます。

リーマン・ブラザーズが丸紅の嘱託社員(のちに懲戒解雇)から,丸紅の病院再生事業に投資することを勧められて出資したものの,これが架空の話であったという件で,リーマンの関連会社が丸紅に対して使用者責任の追及をしたところ,東京地裁は4月6日に請求を棄却していたことが明らかになりました。

訴訟の第一審判決に関するお知らせ

この事件では,話し合いの場に丸紅の本社が使われたりするなど,外形理論に照らすと,かなり丸紅に責任が認められそうな事情がありました。

しかし,一方で,リーマンの関連会社は投資の回収が異様に早くできることになっているなど契約内容があまりに非現実的であるという点もありました。

これらの点から,丸紅は,業務の執行に当たらないこととリーマンの関連会社に重過失があることを主張していた模様です。

どのような構成で認められたのかは定かではないのですが,事前の予想では,丸紅不利という見方がかなりあったので,大変衝撃的な判決といえましょう。

裁判例情報

東京地裁平成23年4月6日判決

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。