先日,法務省が震災を受けての株主総会の開催について見解を示したことをお伝えしましたが,これでは解決しない問題があることも従前の記事に書いた通りです。
JAPAN LAW EXPRESS: 法務省,大震災を受けて定時株主総会の開催時期について会社法上,決算期末から3か月以内に開催しないといけないものではないと表明
上記リンク先の記事で書いた問題のうちのいくつかはについての対応がでてきました。
株主総会の基準日あるいは開催日を定款に定めている場合については,法務省は以下のような見解を新たに出しました。
(略)
特定の時期に定時株主総会を開催すべき旨の定款の定めについては,通常,天災等のような極めて特殊な事情によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合にまで形式的・画一的に適用してその時期に定時株主総会を開催しなければならないものとする趣旨ではないと考えるのが,合理的な意思解釈であると思われます。
したがって,東北地方太平洋沖地震の影響により,定款所定の時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,会社法第296条第1項に従い,事業年度の終了後一定の時期に定時株主総会を開催すれば足り,その時期が定款所定の時期よりも後になったとしても,定款に違反することにはならないと解されます。
(略)
しかし,この見解よりもより明確に解決することを狙ってか,震災立法でそれらの定款の規定から1年延期を認めることになる模様です。
さらに有価証券報告書の提出についても金融庁が3か月延期を検討との報道もされています。
すると,延期した総会よりも先に有価証券報告書を提出する場合もありうることになりますが,有価証券報告書に含まれる計算書類が総会に提出されてないうちに有価証券報告書で先行してしまうことになります。
しかし,有価証券報告書は総会前提出ができますので,別にかまわないわけです。すると,計算書類の作成については3か月の猶予しか設けられないことになります。