JAPAN LAW EXPRESS: 東京地裁,NowLoadingの子会社が取締役を解任したところ当該取締役が提起した解任決議の不存在確認訴訟と報酬請求訴訟において,報酬請求のみ認容されるの詳報です。
上記記事は,同社からのリリースを基にして書いたのですが,このリリースが何を言っているのかよくわからず,極めて不明確なことしか書けませんでした。
この判決はまだ全文が公開されていないのですが,商事法務1924号に概略が載りましたので(60ページ),追完しておきます。
この判例で示された判断を確認するにとどめますが,この事件では,決議の不存在確認を認めていました。
その理由には,株主総会における動議等,本件紛争にかかる決議についてはすべて議長を差し置いて行われたことから,採決決議があったとは言えないとしました。総会手続の違反というと取消理由になりそうな感じがしますが,手続違反というレベルではないことから不存在と判断された模様です。
不存在であるために,この総会によって選任された取締役が代表取締役となって行った追認決議も当然として瑕疵があるとしました。しかし,この時点で子会社のインスタイルは法人株主だけになっており,代表取締役が親会社のNowLoadingの代表取締役でもあるために,株主が全員出席した総会ということで追認決議の効力を認めました。
ここで問題となるのが,先立つ決議が不存在である場合の追認決議の効力です。
この点についてはいろいろ考えられそうな気がしますが,東京地裁は,一方的に報酬請求権を奪うことになるとして遡及効を否定しました。
そこで,追認決議までの報酬請求が認められたほか,解任にも正当な理由がないとして,本来の任期満了までの報酬相当額の損害賠償も認められたものです。
NowLoadingのリリースだとかなり簡略化した記載になっていたために上記のような判断の実際について読み取れませんでした。
上記のとおり追完させていただきます。
しかし,この事件にはいろいろな重要判断が示されており,研究の対象として重要な意義があるような気がします。
裁判例情報
東京地裁平成23年1月26日判決