まだ公取委からリリースはないのですが,大手各紙が昨日18日に一斉に,公取委の合併審査の見直し案の全容が明らかになったとして報道がなされ,その中で事前相談が廃止されることが明らかになりました。
asahi.com(朝日新聞社):合併の事前相談を廃止へ 公取委、審査不透明と批判受け – ビジネス・経済2011年2月19日7時22分
公正取引委員会は、企業合併・買収(M&A)の審査で続けてきた、企業からの「事前相談」制度を廃止する方針を決めた。経済界から「事前相談が合併審査を不透明にさせている」との批判を受け、近くとりまとめる企業結合規制の見直しの柱にする。
事前相談は、合併や買収を計画する企業が独占禁止法にもとづく正式な届け出を公取委に出す前に、計画が法に反するおそれがあるかどうか公取委の見解をうかがう制度。独禁法に相談の規定はなく、公取委は「サービスの一環」として続けてきた。
欧米の公取委にも事前相談制度はある。しかし、日本の経済界や経済産業省は「法的な根拠もないのに、追加資料の提出を求められるなど手続きに時間がかかる」「実質的には相談段階から審査が始まっている」などと見直しを求めてきた。
(略)
法的根拠もないのに不透明だとかいう経済界からの批判にこたえたものですが,実のところ組織再編関係の行為が行われる全体から見てみると,事前相談がされるのは比率としてはわずかであり,廃止しても大した影響はないという判断もある模様です。
しかし,利用は少ないとはいっても,大きな企業同士の場合など影響が大きいものについては,予防法務的な観点からすべからく行われていたでしょうから,規模まで考えに入れると利用の少ない制度の廃止とはわけが違うと思われます。