このブログでは取り上げていませんでしたが,出版社の幻冬舎で経営陣による買収であるMBOが企画されてTOBが行われていましたが,同時にファンドが同社の株式を買い集めており,その帰趨が注目されていました。
結局,TOBは設定していた下限である過半数を超えたので成立したのですが,特別決議の成立が確実になる議決権の3分の2の確保はできずに終わりました。
幻冬舎のTOB成立、自社買収実現の鍵握るファンド動向| ビジネスニュース| Reuters 2010年 12月 29日 14:58 JST
[東京 29日 ロイター] マネジメント・バイアウト(MBO、経営陣が参画する自社買収)のため株式公開買い付け(TOB)を行っていた幻冬舎(7843.OS: 株価,ニュース, レポート)は29日、買い付けに1万5968株(58.17%)が応募し、TOBが成立したと発表した。
(略)
MBOは,TOB後に全株の取得を行うのが一般的で,この後,定款変更をして普通株式に全部取得条項をつけて,全部取得を決議して,比率を調整して対価を株式にして,MBOを実行している経営側以外の株主は,1株未満の株式しか取得できないようにして現金で処理をすることになります。
すると,何度も特別決議をする必要がありますので,TOBで議決権の3分の2を確保することは,今後の見通しをつける意味で重要な点でした。今回はそれに到達しなかったので,今後どうなるかやや不透明ですが,件のファンドというのは,ケイマン籍の投資ファンド、イザベル・リミテッドといい,30%以上の議決権を保有したものの,本件のためだけに設けられたファンドらしく,株式の買取を求めてくるだけではないかとされています。
よって,MBOの成立自体については,ある程度見通しがあるとも考えられるかもしれません。