伯東,米国子会社が保有していた株式を譲渡したところ,当該会社が特許権侵害訴訟で和解して和解金を支払って損害を出したことから,株式譲渡契約の補償条項に反するとして譲受人から損害賠償請求訴訟を提起される


東証一部上場の伯東のアメリカの子会社が保有していた株式を,その会社の買収をした会社に対して譲渡したことがあったそうなのですが,その会社が特許権侵害で訴えられ和解して和解金を支払い損害を出したそうです。

そのことが株式譲渡契約の補償条項に反する事実に該当するとして,譲受人であるアメリカの事業会社からイリノイ州北部地区連邦地方裁判所に提訴されたことが同社から発表されました。

訴訟の提起に関するお知らせ

 

英文契約書では,売買の目的物について特許権侵害がないことを保証するとかそういう条項を設けることがよくありますが,損害が生じた場合の補償をする条項というのもあります。

しかし,株式の譲渡でそういう条項を契約で設けた場合,どういう損害がそこに入るのかについてはいささかわからないところがあります。

完全子会社を売却したのなら,会社の特許などがしっかりしているのかについても保証して,損害が生じた場合には補償することを表明しているものといえないでもないかもしれませんが,本件は他にも株主がいるようであり,特許権侵害をしていた会社について伯東が実質的に支配していたという点が,どれほど強かったのかについてはよくわからないところがあります。

細かい事実関係がわからないので,なんともいえないのですが,株式の売買だと,損害が生じることはざらですので,あらゆる株価下落の場合にまで損害を補償するものだとするとおよそ合理的な内容の契約ではないように思われます。

ちなみに,本件ではもう一つ承継の問題があり,株式の譲渡人である米国子会社は解散してしまっているのです。そのため親会社に請求をしているのですが,合併等で解散したのではない限り,包括承継はされないことになりそうです。

すると,本件の原告が主張しているのは,解散してしまった会社の支配株主としての伯東の責任ということなのでしょうか。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。