最高裁,フタバ産業株主名簿閲覧謄写請求事件で,株主からの抗告を棄却


かなり以前のことなので,いまさら取り上げるのが恐縮なのですが,さる9月14日に,フタバ産業の株主が,共同原告を募って金商法上の損害賠償請求訴訟を提起するために株主名簿の閲覧謄写請求をしていた事件で最高裁が株主からの抗告(許可抗告,特別抗告)を棄却しました。

最高裁ウェブサイトで公開されておらず,最近の商事法務の誌面で知ったもので取り上げるのが遅くなりました。

そもそも,このブログでは原決定からして取り上げていませんでしたが,虚偽記載のある有価証券報告書に基づいてフタバ産業株式を購入して,損害を被ったとして,株主が損害賠償請求訴訟を提起しようとしていたのですが,その前に共同原告を募るため株主名簿の閲覧謄写を同社に請求したという事件です。

株主名簿の閲覧の制度と目的を異にするとして認められていなかったのですが,その判断を最高裁も是認したということがいえるかと思われます。

会社法

第125条(株主名簿の備置き及び閲覧等)

株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。

2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。

一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。

四 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。

五 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

5 前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。

最高裁の決定は不明ですが,名古屋高裁は以下のように述べています。

名古屋高裁平成22年6月17日決定

金商法上の損害賠償請求権を行使するための調査は,会社法125条3項1号の「株主の権利の確保又は行使に関する調査」には該当しないというべきである。

最高裁もこの考えを是認したものといえるかと思います。

株主名簿閲覧請求についての判断に新しいものが加わったものとして,意義があるように思われます。

判例情報

最決平成22年9月14日

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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