名古屋地裁,名古屋エムケイが初乗り400円のタクシー運賃の認可継続を求めた訴訟に関連して,仮の救済を申し立てたのに対して,1年間または第一審判決から30日を経過した日のいずれか早い日までの認可を仮の義務付け


行政事件訴訟法で一気に充実した仮の救済については,論点がたくさんありますが,だんだんと実例が積み重なってきています。

その中の一つが目に留まりましたので取り上げます。

タクシー会社の名古屋エムケイが初乗り400円のタクシー運賃で営業していたところ,値上げを指導されたため,認可の継続を求めて行政訴訟になっていますが,それに付随して,仮の救済として,原稿運賃の認可の仮の義務付けを同社が申し立てて,これが認められたことが明らかになりました。

名古屋エムケイ株式会社にかかるタクシー運賃の仮の認可について

決定全文は公開されていないのですが,報道等によると,現行運賃を維持しても十分な収入を得られるという同社の収支予測は合理的としているそうです。

行政事件訴訟法

第37条の5(仮の義務付け及び仮の差止め)

義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。

2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。

3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない

4 第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。

5 前項において準用する第二十五条第七項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第二十六条第一項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。

これは仮の義務付けの要件のうち,「本案について理由があるとみえるとき」の要件に関する判示に見えるのですが,「償うことのできない損害を避けるために緊急の必要」の要件はどうなっているのでしょうか。

仮の義務付けを認めないとよりいっそう利益が上がるだけで,それによって申立人に償うことのできない損害が生じるというのは,どういったものでしょうか。金銭には換えられないものが該当するというのが一般的な理解だと思いますが,本件ではどういうものなのか気になるところです。

なお,中部運輸局はこれに対して即時抗告をしています。

しかし,仮の義務付けに対する即時抗告は,執行停止の効力を有さない(行訴法37条の5第4項の準用する25条7項8項参照)ために,ひとまず初乗り400円タクシーは継続されることになりました。

裁判例情報

名古屋地裁平成22年11月8日決定

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。