かつてからお伝えしている細谷火工の土地取引をめぐる件ですが、株主が株主代表訴訟の形で責任追及をしたことが明らかになりました。
これまでの経緯については以下のエントリーをどうぞ
JAPAN LAW EXPRESS: 細谷火工、利益相反取引があり善管注意義務違反があったとして常勤監査役が代表取締役等の役員と元役員に対して損害賠償請求訴訟を提起
JAPAN LAW EXPRESS: 細谷火工で監査役が提起した役員に対する損害賠償請求訴訟が監査役の交替によって取り下げられる
提訴したのは、同社の株主ですが、もともと同社が損害賠償請求をした際の監査役であり、同社の創業一族です。
よって、端的には同社の内部紛争であることが伺われます。
同社は、被告側に補助参加すると上記リリースで表明しており、全面対立となっています。
なお、訴訟物が完全に同じなのかまでははっきりとはわからないのですが、一応取下げた後に再度提訴しているような件といえます。
本件では前訴は判決はおろか審理すらしていないでしょうから、民事訴訟法の取下げ後の再訴の問題は生じませんが、仮に再訴禁止(民事訴訟法262条2項)の生じる場合だったらどうなるでしょうか。
再訴禁止の範囲については、本人と一般承継人に限られるということだと思いますが、本人が取下げてしまったとき、法定訴訟担当である株主はどうなるでしょうか。法定訴訟担当が取下げてしまった場合に本人には及ばないということになると思いますが、逆だとどうなるでしょうか。
会社が提起した時点で公開会社なら公告があります(会社法849条4項)ので、馴れ合い訴訟の危険があるなら参加するべきということがいえます。
法定訴訟担当が取り下げをした場合に本人に再訴禁止効が及ばないのは、法定訴訟担当は本人が選ぶことが出来るわけではないというところに根拠があると考えられます。すると、前訴に参加の機会があるのにあえてしなかったということは、再訴禁止効を及ばせるべきではないだけの利益がないということになるのでしょうか。まず起きるようなことではないですし、本件の事実関係とは異なることを前提にした仮想にすぎませんが、中々難しい問題のように思えます。