大分地検、インターネットによる株取引で見せ玉を建てることで株価を不当に吊り上げたとしてデイトレーダーの会社役員を逮捕


早稲田大学の投資サークルOBによる相場操縦の事件がありましたが、それと同様の手口をしていたデイトレーダー事件が大分地検によって逮捕されました。

相場操縦:デイトレーダーを逮捕 大分地検 – 毎日jp(毎日新聞)毎日新聞 2010年10月9日 11時43分

インターネットの株取引で大量に見せかけの注文をして不当に株価をつり上げたとして、大分地検は8日、大分市の会社役員で個人投資家のデイトレーダー、田中潔容疑者(35)を金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕した。数年間にわたって不正な取引を繰り返し、10億円近い利益を得ていたとみられ、証券取引等監視委員会も刑事告発に向け調査している。

容疑は、06年10月25日と10年2月9日、上場株式3銘柄について、買う意思がないのに大量の買い注文を出して不当に株価をつり上げ、高値になった段階で所有していた株を売り抜け不正利益を得たとされる。捜査関係者によると、この2日間だけで約700万円の利益を得たという。

(略)

これはいわゆる見せ玉という手法で、注文をたくさん出すことで売買が繁盛しているように見せかけて値を吊り上げるというものです。

これが金融商品取引法に規定されている禁止行使である相場操縦に該当するという問題です。

実は、相場操縦が禁止されると一言で言っても、その構成要件は極めて複雑になっており、見せ玉が該当して相場操縦になるかは一概にはわからない感じがします。

第159条(相場操縦行為等の禁止)

何人も、有価証券の売買(金融商品取引所が上場する有価証券、店頭売買有価証券又は取扱有価証券の売買に限る。以下この条において同じ。)、市場デリバティブ取引又は店頭デリバティブ取引(金融商品取引所が上場する金融商品、店頭売買有価証券、取扱有価証券(これらの価格又は利率等に基づき算出される金融指標を含む。)又は金融商品取引所が上場する金融指標に係るものに限る。以下この条において同じ。)のうちいずれかの取引が繁盛に行われていると他人に誤解させる等これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもつて、次に掲げる行為をしてはならない。

一 権利の移転を目的としない仮装の有価証券の売買、市場デリバティブ取引(第二条第二十一項第一号に掲げる取引に限る。)又は店頭デリバティブ取引(同条第二十二項第一号に掲げる取引に限る。)をすること。

二 金銭の授受を目的としない仮装の市場デリバティブ取引(第二条第二十一項第二号、第四号及び第五号に掲げる取引に限る。)又は店頭デリバティブ取引(同条第二十二項第二号、第五号及び第六号に掲げる取引に限る。)をすること。

三 オプションの付与又は取得を目的としない仮装の市場デリバティブ取引(第二条第二十一項第三号に掲げる取引に限る。)又は店頭デリバティブ取引(同条第二十二項第三号及び第四号に掲げる取引に限る。)をすること。

四 自己のする売付け(有価証券以外の金融商品にあつては、第二条第二十一項第一号又は第二十二項第一号に掲げる取引による売付けに限る。)と同時期に、それと同価格において、他人が当該金融商品を買い付けること(有価証券以外の金融商品にあつては、同条第二十一項第一号又は第二十二項第一号に掲げる取引により買い付けることに限る。)をあらかじめその者と通謀の上、当該売付けをすること。

五 自己のする買付け(有価証券以外の金融商品にあつては、第二条第二十一項第一号又は第二十二項第一号に掲げる取引による買付けに限る。)と同時期に、それと同価格において、他人が当該金融商品を売り付けること(有価証券以外の金融商品にあつては、同条第二十一項第一号又は第二十二項第一号に掲げる取引により売り付けることに限る。)をあらかじめその者と通謀の上、当該買付けをすること。

六 市場デリバティブ取引(第二条第二十一項第二号に掲げる取引に限る。)又は店頭デリバティブ取引(同条第二十二項第二号に掲げる取引に限る。)の申込みと同時期に、当該取引の約定数値と同一の約定数値において、他人が当該取引の相手方となることをあらかじめその者と通謀の上、当該取引の申込みをすること。

七 市場デリバティブ取引(第二条第二十一項第三号に掲げる取引に限る。)又は店頭デリバティブ取引(同条第二十二項第三号及び第四号に掲げる取引に限る。)の申込みと同時期に、当該取引の対価の額と同一の対価の額において、他人が当該取引の相手方となることをあらかじめその者と通謀の上、当該取引の申込みをすること。

八 市場デリバティブ取引(第二条第二十一項第四号及び第五号に掲げる取引に限る。)又は店頭デリバティブ取引(同条第二十二項第五号及び第六号に掲げる取引に限る。)の申込みと同時期に、当該取引の条件と同一の条件において、他人が当該取引の相手方となることをあらかじめその者と通謀の上、当該取引の申込みをすること。

九 前各号に掲げる行為の委託等又は受託等をすること。

2 何人も、有価証券の売買、市場デリバティブ取引又は店頭デリバティブ取引(以下この条において「有価証券売買等」という。)のうちいずれかの取引を誘引する目的をもつて、次に掲げる行為をしてはならない。

一 有価証券売買等が繁盛であると誤解させ、又は取引所金融商品市場における上場金融商品等(金融商品取引所が上場する金融商品、金融指標又はオプションをいう。以下この条において同じ。)若しくは店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の相場を変動させるべき一連の有価証券売買等又はその申込み、委託等若しくは受託等をすること。

二 取引所金融商品市場における上場金融商品等又は店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の相場が自己又は他人の操作によつて変動するべき旨を流布すること。

三 有価証券売買等を行うにつき、重要な事項について虚偽であり、又は誤解を生じさせるべき表示を故意にすること。

3 何人も、政令で定めるところに違反して、取引所金融商品市場における上場金融商品等又は店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の相場をくぎ付けし、固定し、又は安定させる目的をもつて、一連の有価証券売買等又はその申込み、委託等若しくは受託等をしてはならない。

見せ玉というのは、自分の取引は後でキャンセルするので、実売買規制の2項1号のほうに該当するとされています。実は

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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