経済産業省、産業活力再生法の認定を受けた企業が自社株を使うTOBをする場合の要件緩和と報道される


本日の日経の朝刊1面トップで、経済産業省が、自社株を使ったTOBの要件を緩和すると報道されました。

産業活力再生法の認定を受けた会社が活用できるというもので、再編のために活用することを意図している模様です。

また、少数株主からの強制的な株式買取も可能にすることも報道されました。

 

TOBの対価は、一般的に現金ですが、実は金商法上は、対価は現金に限られていません。

むしろ、以下の規定があることから、株式を対価とする場合も前提としていることが伺われます。

第27条の4(有価証券をもつて対価とする買付け等)

公開買付者等は、次項に規定する場合を除き、その公開買付けにつき有価証券をもつてその買付け等の対価とする場合において、当該有価証券がその募集又は売出しにつき第四条第一項本文、第二項本文又は第三項本文の規定の適用を受けるものであるときは、公開買付届出書又は訂正届出書の提出と同時に当該有価証券の発行者が内閣総理大臣にこれらの規定による届出を行つていなければ、売付け等の申込みの勧誘その他の当該公開買付けに係る内閣府令で定める行為をしてはならない。

2 前項の場合において、同項の有価証券が発行登録をされた有価証券であるときは、公開買付者等は、当該発行登録が効力を生じており、かつ、公開買付届出書又は訂正届出書の提出と同時に当該有価証券の発行登録者が発行登録追補書類を内閣総理大臣に提出していなければ、売付け等の申込みの勧誘その他の当該公開買付けに係る内閣府令で定める行為をしてはならない。

3 有価証券をもつて買付け等の対価とする公開買付けであつて、当該有価証券の募集又は売出しにつき第四条第一項から第三項までの規定による届出が行われたもの又は発行登録追補書類が提出されたものに係る公開買付届出書の提出については、前条第二項の規定にかかわらず、公開買付届出書に記載すべき事項及び添付書類のうち内閣府令で定めるものの記載及び添付を省略することができる。

 

このように可能であると考えられますが、公開買付の対価を株式で行った実例もごくわずかにしかないと思われるところ、その理由は色々とクリアしないといけないハードルがあるせいだという理解なのでしょう。

現金が莫大にいるよりは、株式を使うとTOBが活発化すると考えていることから、このような方針が考えられたということになりましょう。

超えなければいけない法的な問題点ですが、金商法、会社法、租税法の3つの法分野で問題がありえます。

報道では、会社法の見直しと関連付けるようなことが書かれており、税法の問題まで対処できるかがかなり大きな課題になりそうです。

 

それはさておき、ここでは金商法上の問題点と会社法上の問題点について指摘だけしておくことにします。

 

金商法上の問題

自社株を対価とする行為が、募集または売り出しに該当する場合には、発行開示規制を満たす必要がある。

会社法上の問題

新株発行または自己株式かの違いにかかわらず、買付をする株式との割当比率によっては有利発行になりうる。

自社株式を対価とする場合とされているため、公開買付に応じた株主は買付者に現物出資することになる。よって検査役による調査が必要になる。

 

報道では、特別決議を不要とすることや検査役の調査不要という措置が言及されており、会社法上の問題についての対処が特に検討されている模様です。

 

私が不勉強なだけなのですが、金銭以外を対価とするTOBの実例には、自社株ではなく親株式を対価とするTOBの実例として、技研興業の件があるくらいしか存じません。

よって、どれほどニーズがあるのかいまいちわからないのに加えて、下手をすると買付者側の既存株主や債権者を害しかねないことから、本件の方向性にはいささな微妙な感じを受けます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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