米SEC、会社提案の取締役選任議案の投票用紙に一定の条件で株主提案の候補も含めて候補者名を明記して株主が直接選べるようにする規則変更を承認


アメリカのSECで、取締役選任について株主の提案が通りやすくなる方向に作用する規則変更が承認されました。

ビジネス・企業 / 米SEC、取締役交代を容易にする規則を承認=株主の権限拡大 / The Wall Street Journal, Japan Online Edition – WSJ.com

(略)

企業は一定の条件の下で、株主に送る取締役選任に関する議決案の投票用紙に取締役候補者名を明記し、株主が直接候補を選択できようにすることが義務付けられる。2011年度の株主総会から実施される。

ただし、中小企業については3年間新規則の適用が免除される。現行規則では、株主は選任を拒否したい取締役候補がいた場合、その旨を記した別の投票用紙を自費で郵送しなければならず、コストがかかり煩わしさもある。

(略)

新規則では、投資家グループが取締役選任に関する投票用紙を請求するには、少なくとも3%の株式を最低3年間保有していなければならない。また、条件を満たすため借り株をすることはできない。経営権変更のために、新規則を利用することも禁じられ、新規則で選任する取締役は全体の4分の1以下に制限される。

この件に関する日経の報道によると、召集通知に株主提案の取締役候補について記載を求めることができるようになるというように読めますが、これだと日本の会社法にアメリカが追いつくかのように思えてしまいます。

しかし上記のウォールストリートジャーナルの報道から行くと、そのようなものとは異なる内容であるようであり、投票用紙に一人一人の名前を明記することを求めるもので、株主提案の候補についても会社提案の候補と同じように名前を並べるように求める趣旨である模様です。

日本の会社法でも、取締役候補一人当たりに一つの議案と考えられていますが、実際の投票では会社提案でひとまとめになるように書面投票や電子投票の書式等を構成することが許されています。

そのために最初から会社提案有利になっている気配があるわけですが、アメリカでもそのような傾斜については同じであり、それを一定の大株主による提案に限っては会社提案と表記上は差異のない扱いを義務付けるものが今回の変更といえそうです。

これは会社提案の帰趨をかなり危うくするものであり、会社側から猛反対を受けているようですが、当然の反応だと思われます。

参考

SECのリリース(英語)

SEC Adopts New Measures to Facilitate Director Nominations by Shareholders; 2010-155; Aug. 25, 2010

 

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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