ダイキン工業の有期雇用の労働者が、雇止めを前に同社を提訴へ


松下プラズマディスプレイ(現パナソニックプラズマディスプレイ)事件のような紛争が大手空調機器のダイキン工業でも発生した模様です。

別会社に雇用されたものの同社とダイキン工業が業務処理請負契約を締結したために実際の労務の提供はダイキンにおいて行って10年以上になる労働者たちが、当該契約は偽装請負であるとして大阪労働局より偽装請負であるとして是正指導を受け、それを受けて直接の有期雇用に切り替えられたという経緯を経て、機関満了で雇止めがされようとしていることから、同社を提訴するほか団体交渉の申し入れで雇用の継続を目指しての働きかけを行うことが明らかになりました。

偽装請負:是正4人、ダイキンを提訴へ 雇用継続求め – 毎日jp(毎日新聞)毎日新聞 2010年8月17日 東京夕刊

空調機器大手「ダイキン工業」の堺製作所(堺市)で、今月末に雇用契約の期限を迎える期間工4人が近く、雇用の継続を求めて大阪地裁に提訴する。4人は「偽装請負」状態で長期間働いたが、大阪労働局による同社への是正指導を受け、他の494人とともに直接雇用された。4人は「長期間の偽装請負は労働者派遣法などに違反しており、直接雇用の契約は請負時代から成立していた」と主張、直接雇用の成立時期が主な争点になる見通しだ。

4人は、同社堺製作所内で10~18年間、空調機器の製造工程で働いてきた30~50代の男性で、08年3月から期間が最長2年半で雇用された。

関係者によると、堺製作所では90年代以降、業務を複数の請負会社に委託しながら、実際にはダイキンの社員が請負労働者に業務を指示する偽装請負の状態にあったという。

(略)

以上の事実を見ますと、上記松下の件とかなり似た経緯をたどっています。

よって法律構成については松下の件と同じ枠組みで考えてよいのではないかと思われます。

JAPAN LAW EXPRESS: 最高裁、パナソニックプラズマディスプレイ事件(旧松下プラズマディスプレイ事件)で労働契約上の地位確認請求を認容した原審を破棄

以下は、上記リンク先に記述されている規範に照らして本件事実に特徴的なところを検討しますので、法律構成については上記リンク先をご確認ください。

松下の件と比べますと、偽装請負とされる雇用の期間が長い点が異なります(松下の件では原告である労働者の偽装請負で労働した期間は1年3ヶ月)。しかし業務処理を請け負った会社に実態があったのか等については情報が不足しています。

訴訟における主張は明らかではないのですが、容易に予想される労働契約上の地位の確認請求であり、偽装請負の際に期間の定めのない労働契約がダイキンとの間で成立したという主張をするのだとすると、松下の件の最高裁判決によると請負会社の実態がどの程度であるかが重大な問題になりそうです。一方で大阪労働局の指摘のとおりのかなり長期にわたる偽装請負があるとすると、その事実がどう作用するかが問題となります。

個人的には、請負人に実態があって賃金の支払いがどうなっていたかという点によって左右される点は変わらないのではないかと考えますので、業務処理を請け負った会社の実態についての事実が重要ではないかと考えます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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