ダスキン株主代表訴訟の弁護士費用請求訴訟の判決全文が公開される


JAPAN LAW EXPRESS: 大阪地裁、ダスキン株主代表訴訟で勝訴した原則株主が会社に費用等請求をした訴訟で、弁護士費用として8000万円を一部認容の関連情報です。

この判決の全文が裁判所のウェブサイトで公開されました。

大阪地裁平成22年07月14日判決 平成20(ワ)16888 報酬金請求事件

まず、上記リンク先の従前の記事の訂正なのですが、根拠となる条文は旧商法の268条の2第1項でした。

商法

【弁護士等の報酬の請求、損害賠償の責任】
第268条ノ2

第二百六十七条第三項又ハ第四項ノ訴ヲ提起シタル株主ガ勝訴シタル場合ニ於テ其ノ訴訟ヲ行フニ必要ト認ムベキ費用ニシテ訴訟費用ニ非ザルモノヲ支出シタルトキ又ハ弁護士若ハ弁護士法人ニ報酬ヲ支払フベキトキハ株主ハ会社ニ対シ其ノ費用ノ額ノ範囲内又ハ其ノ報酬額ノ範囲内ニ於テ相当ナル額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得

(平成五法六二、平成一三法四一・法一二八本項改正)

株主ガ敗訴シタル場合ニ於テハ悪意アリタルトキニ非ザレバ会社ニ対シ損害賠償ノ責ニ任ゼズ

前二項ノ規定ハ前条第二項ノ規定ニ依リテ訴訟ニ参加シタル株主ニ之ヲ準用ス

(昭和二五法一六七本条追加)

ただし、この規定の趣旨は、会社法852条と同じなので、判示事項は会社法にも妥当すると思われます。

会社法

第852条(費用等の請求)

責任追及等の訴えを提起した株主が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、当該責任追及等の訴えに係る訴訟に関し、必要な費用(訴訟費用を除く。)を支出したとき又は弁護士若しくは弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該株式会社に対し、その費用の額の範囲内又はその報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。

2 責任追及等の訴えを提起した株主が敗訴した場合であっても、悪意があったときを除き、当該株主は、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する義務を負わない。

3 前二項の規定は、第八百四十九条第一項の規定により同項の訴訟に参加した株主について準用する。

この判決は、会社に請求できる「相当ナル額」について以下のように判示しています。

「相当ナル額」とは,株主代表訴訟において株主から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果当該会社が回収した額,株主代表訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものと解するのが相当である。

よって、会社に請求できる額は、認容された額に依拠して弁護士報酬規程から算出される金額そのままではなく、弁護士の労力のほか、実際に会社が回収できた金額を考慮に入れて社会通念上適正妥当な金額を考えることになっています。

そのため、算出される弁護士報酬全額とする原告の主張を退けています。

「相当ナル額」を認定するに当たって弁護士会の定めていた弁護士報酬規程に従って算定される報酬額を考慮要素とすることまで否定されるものではないとしても,旧商法268条の2第1項の前記立法趣旨にもかんがみると,特段の事情のない限り当該報酬額をもって「相当ナル額」とすべきである旨の原告の主張を採用することはできない。

会社に賠償させるはずの株主代表訴訟で、かえって財産の流出が発生するのはおかしいということで、もっともな考え方だと思います。しかし、そうすると株主には持ち出しになってしまうことが本件のようにありえますので、最近見られるようになった、株主代表訴訟の結果、とても払いきれない賠償を役員に命じるのはこの点からも問題を生じさせることになるといえます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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