会社が組織再編の行為や特定の定款変更を行う場合に、反対する株主に株式買取請求権が生じます。単純な表現をしてしまうと、出資分を返すので会社から出て行ってくれということなのですが、買取価格で折り合えないと、価格決定の申立てになり、裁判所に決めてもらうことになって長い争いになります。
MBOや支配権争奪合戦の後始末として、価格決定の申立てが行われて、裁判例が蓄積されてきていますが、会社と行使した株主との間で価格について折り合えて、穏当に株式買取が行われることもそれなりに多く事例があります。
そのような事例の一つとして、日本ユニシスが子会社の吸収合併をした際に、反対株主一名から株式買取請求権の行使を受けて、これを買い取ったことが公表されました。
子会社吸収合併に対する反対株主からの自己株式の買取りに関するお知らせ -2010年7月9日- 日本ユニシス
最近の株式買取請求権見直し論の根拠の一つにこの権利が濫用がされているという見解があります。
本当は当該組織再編行為について反対ではないものの、ちょうどいい機会であるので、売ってしまうのに使っているというものです。
本件も株主は1名だけで、完全子会社の吸収合併であることから、本当に本心から反対なのかというと微妙であるようには思えます。
しかし、株式買取請求権は内心が大事である制度でもないように思えますので、致し方ないのではないかと思うのですが、今後、株式買取請求権見直し論はどう進むでしょうか。