株主総会の議事の進め方には会社法にも規定をほぼ欠いており、会社提案がそのまま承認されるような無風な場合ならともかく、イレギュラーな総会になるとどう進めればよいのかは実は法的にははっきりしません。
最終的には、多数決で決している以上、差がある程度開けばその結論を是認していいような感じがしますので、あまり問題になることはありませんが、突き詰めるとよくわからないところもたくさんあります。
それでもいくつか編み出されてきた議事の進め方のようなものがいくつかあり、それらが堅実な実務となっているように思われます。
そのような例の一つとして、先日の佐藤食品工業の定時株主総会における取締役選任議案がありましたので、取り上げます。
第56 期定時株主総会の決議及び代表取締役就任に関するお知らせ
取締役選任議案は会社提案だけがされていたのですが、総会の席上、株主から会社提案を修正する動議が提出され、3名の候補者のうち2名を差し替える内容だったのですが、会社の原案の先議を諮る議長の提案が否決されたため、修正動議にかかる内容が諮られこれが承認されたというものです。
修正動議という形をとっている以上、どちらを先議にするかという処理の仕方をしているのだと思われます。
もっとも実質的にはほとんど、株主提案権の行使と同じですから、定款に定められた取締役の員数との関係では、完全に問題が生じないわけでもないと思います。