確かに権利の行使に証券の占有がいるけれど


以下のような事件があって、「あれ」と思いました。

偽造有価証券交付:「AKB48」偽握手券配る 容疑のファン逮捕--警視庁 – 毎日jp(毎日新聞)

女性アイドルグループ「AKB48」のメンバーとイベントで握手できる「握手券」の偽造版を配ったとして、警視庁少年事件課は22日、東京都練馬区大泉町6、無職、大井邦彦容疑者(25)と埼玉県川口市の私立高校3年の少年(17)を偽造有価証券交付容疑で逮捕したと発表した。同課によると大井容疑者はAKBの熱狂的なファンで、偽造も認めており、有価証券偽造でも立件する方針。

(略)

AKBの握手券って刑法上の有価証券でしょうか。

確かに刑法の有価証券は、商法上の有価証券とは違って広いですが、アイドルとの握手券となると、さすがにそこまでの価値はないのではないかと思って、条文をみて判例を確認しました。

判例は、刑法162条以下の有価証券偽造等の有価証券の意義について以下のように判示しています。

最判昭和32年7月25日刑集11巻7号2037頁

刑法にいわゆる有価証券とは、大審院が屡々判示したように、財産上の権利が証券に表示され、その表示された財産上の権利の行使につきその証券の占有を必要とし、その証券が取引上流通性を有すると否とは刑法上は必ずしもこれを問わないものと解するを相当とする。

システムを良く知らないので、想像に過ぎないのですが、握手券を見せないと握手できないでしょうから、権利の行使に証券の占有がいることになりますね。すると、AKB48との握手が財産上の権利といえるなら、有価証券ということになりそうです。

裁判例では有価証券について結構、広く認められており、馬券とかでも入るのですが、これはあとで払戻金があるからでしょう。

すると、アイドルとの握手ってどうなのかという気がしてきますが、オークションで転売することができるでしょうから、そこをみると財産上の権利といえるのでしょうか。しかしこれは権利の内容自体とはやや違う感じがしないでもないです。

何だか個人的には微妙な気がしないでもないですが、有価証券偽造等で構成するのは、被疑者は偽造握手券を交付しただけで、対価を受け取っていないために、詐欺にならないからなのでしょうね。

個人的には何だか引っかかるものがあります。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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