株主総会の電子投票制度の導入が頭打ちに


株主総会に出席できない株主が議決権を行使する方法としては、書面投票と電子投票があります。

書面投票は要件を満たす株式会社にとっては義務付けられるものですが、電子投票は任意に設ける制度に過ぎないところが違いです。

大手企業では電子投票も導入しているところが多いですが、それら大手企業の導入が一巡してしまい、新たな導入は伸び悩んでいることが明らかになりました。

日経によると導入しているのは612社で全上場企業の16%に過ぎず、昨年6月末から3%しか伸びていないとのことです。

コスト増を嫌って中小企業では導入が進まないという分析がされていますが、確かにこれは結構膨大なシステムですので、中々コスト高になります。

したがって、頭打ちというのも当然の現象であるように思われます。

 

第298条(株主総会の招集の決定)

取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 株主総会の日時及び場所

二 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項

三 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨

四 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨

五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

2 取締役は、株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条から第三百二条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。ただし、当該株式会社が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は、この限りでない。

3 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「前項第二号に掲げる事項」とする。

4 取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。

基本的なことですが、書面投票と電子投票の条文の確認です。

株主総会の召集の決定の条文に定めがありまして、書面・電子とも原則は任意に導入できる制度です。しかし298条2項から株主が千人以上である会社は書面投票の導入が義務になるために、電子投票と違いが出るわけです。

ちなみに、上記の条文の定めからもうかがわれるように、書面投票は株主の便宜のための制度なのですが、その書式や役割は議決権行使の委任状勧誘と似ています。そのため、どちらも行使された場合にどちらが有効になるかという問題が生じえます。この点について去年の新司法試験で出題されてますが、多数説は委任状のほうを有効としてます。書面投票は株主の便宜のための制度に過ぎず、気が変わった株主が自ら出席してしまった場合には無効になってしまうようなものですので、委任状勧誘に応じた場合にはそちらが優先するという考えです。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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