東京地裁、病気からの回復可能性を考慮しない解雇を無効と判断


休職に傷病休職というのがあります。

就業規則で定めをおいているもので、労務の提供ができないような怪我や病気になった場合に、労働者としての地位を維持したまま、療養に専念して、定められた一定期間中に治らないと解雇されるという設計になっていることが多いものです。

問題となるのは、療養の結果、休職の終了事由として一般的に就業規則で採用されている「治癒」にあたるかということです。

一般的には、治癒とは、従前の職務を遂行できることであり、そこまで治らないと治癒にはならないのですが、職種限定がない労働者の場合、その程度の回復度合いでも現実に配置可能な職種があるなら使用者に配慮義務を認めて解雇を無効とすることが多いです。

労働者が傷病にかかるというのはなくなることのないものですが、昨今、心の病の問題から治癒の概念と関係して問題となる傷病休職が増えているように思われます。

そのような一件だと思われる事件で東京地裁で判決が出た模様です。

回復考慮しない解雇は違法 東京の私立高めぐり東京地裁 – 47NEWS(よんななニュース)(2010/03/24 )

進学校として知られる私立の中高一貫校、豊島岡女子学園(東京)の女性教員が、うつ病の回復可能性などを考慮せずに解雇されたのは違法として、雇用契約の確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、解雇を無効として賃金の支払いを命じた。

松田典浩裁判官は主治医の証言などから「回復の可能性は認められる」と判断。「学園側は退職や解雇の判断に当たり、主治医から治療経過や回復可能性に関する意見を聞いておらず、現代のメンタルヘルス対策として不備と言わざるを得ない」と指摘した。

さらに「人員配置や予算計画を確定させるため年度末に解雇したと考えられるが、このような事情は女性の回復可能性に優先しない」とした。

判決によると、女性は2003年6月ごろにうつ病を発症。休職や復職などを経て08年3月末に「職務遂行に支障がある」などの理由で解雇された。

この事件は上記で述べた一般論とは異なり、傷病休職明けの問題とは異なり、休職明けに復職をしてから一般的な解雇事由である職務遂行能力でもって解雇したという事例であることが伺われますが、使用者の配慮義務を考え方については傷病休職明けの解雇の場合に近いように思われます。

裁判例情報

東京地裁判決平成22年3月24日

参考図書

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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