言葉の力


ローマの生んだ唯一の創造的天才、ユリウス・カエサルが生きた時代は他にも有能な人物たちがひしめいていました。

途中まではカエサルなどは、むしろ泡沫候補に過ぎず、地中海を荒らしまわって手を焼いた海賊退治をあっという間に成し遂げてしまったポンペイウスのほうが優勢でした。

しかしポンペイウスの威光はその絶頂期を境に落ちる一方になり、カエサルの急進を許してしまうのです。

それは色々な要因が絡んだ退潮なのですが、そのきっかけは明らかで海賊退治から戻ってきての市民に対する演説で完全に失敗してしまったことです。

失望や怒りを生じさせてしまうとんでもない出来だったようで、これ以来、元老院はポンペイウスを決定的に軽視したとされています。意外なことに言論にはマイナス面とはいえ力があるということを示すいい例です。

ローマ帝国の成立にいたるまで決定的な出来事は、ルビコン渡河、ファルサロスの戦い、カエサル暗殺、アクティウムの戦いなどとても衝撃の大きなものがたくさんあり、注目するのに事欠くことはないのですが、それらに比べると目立たないまでも、ポンペイウスの演説失敗はある意味重要なターニングポイントでした。

もっともこれをしのいだとしても、別の機会に凋落する羽目になってしまったでしょうが。

 

さて、私の住んでいる市で、市長選挙がありそうなことは以前書きましたが、私の親しくしている市議も立候補を考えているらしく、出馬表明となる市民集会を開いたのです。

そこでこれまでの取り組みを訴えたわけなのですが、とてもプレゼンが心に響いてこないもので、困った印象を持ちました。

ポンペイウスに失礼かもしれませんが、支持者に失望を与える演説というのはこういうものかと妙に納得しました。

さて、ここでカエサルが出てこないのは必然です。追い落とす必要があるような相手ではありませんから。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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