金融庁、1億円以上の役員報酬の個別開示を有価証券報告書で義務付けへ


JAPAN LAW EXPRESS: 金融庁、上場企業に役員報酬開示義務付けへ」の続報です。

リンク先の記事では、個別の開示はしないようだと日経の記事の内容から書いたのですが、ここに来て次の3月期から役員報酬の個別開示をすることに急展開がありました。

役員報酬、今期から個別開示義務付け 金融庁方針、経済界反発(日本経済新聞2010年2月11日)

金融庁は2010年3月期から、上場企業などの情報開示を強化する方針だ。現在は有価証券報告書で任意に公表している役員報酬について、総額と役員ごとの金額を記載するよう義務づける。企業間で持ち合う株式の状況や、株主が行使した議決権の結果も開示させる。経営情報を透明化し、株主や投資家の監視を強めるのが狙い。ただ企業の反発は根強く、流動的な要素も残る。

(略)

具体的には、「企業内容等の開示に関する内閣府令」で行われる予定で、有価証券報告書の記載項目として盛り込まれる予定です。

本日12日に金融庁から案が公表されました。

「企業内容等の開示に関する内閣府令(案)」等の公表について:金融庁

ここで個別開示に踏み込むことが明示されていますが、一方で1億円以上の場合に限ることができることも明らかになりました。

有価証券報告書等の「コーポレート・ガバナンスの状況」等において、以下の事項の開示を義務付けます。

(略)

(2)役員報酬

①役員(報酬等の額が1億円以上である者に限ることができる。)ごとの報酬等の種類別(金銭報酬、ストックオプション、賞与、退職慰労金等)の額

②役員の役職ごとの報酬等の種類別の額

③報酬等の額又はその算定方法に係る決定方針の内容及び決定方法 等

よって、選択的ではありますが、1億円以下なら非開示とすることも可能であるようです。

しかしこのやり方は企業側に選択をゆだねることになるので、開示しないことで批判されることを恐れて開示する方向に作用するという効果を狙っていることが伺われます。

企業側としては、ほとんどの役員報酬は1億円以下でしょうから正面から非開示を選択するか、情報開示に前向きになるか難しいところです。

ただ、こういっては何ですが、一部の会社を除いて、日本企業の役員報酬は少なく、アメリカのCEOがとんでもない報酬を取っており金の亡者みたいだとか言う話はまったく持って日本のそれには妥当しません。

逆に言うと、その程度の報酬なのになんで開示を嫌がるのかもなぞです。多分、大騒ぎするような内実がないというのが現実なのでしょう。そもそも総務担当者なら当然接するわけで、たいしたものではないということは実は広く知られていることだと思います。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

3 thoughts on “金融庁、1億円以上の役員報酬の個別開示を有価証券報告書で義務付けへ

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