「JAPAN LAW EXPRESS: シャルレ監査役会、株主からなされた旧経営陣に対する責任追及の訴えの提訴請求に対して不提訴理由書を送付」の続報です。
下着販売のシャルレは、経営陣の不適切な行動のせいでMBOが不成立に終わったということがありましたが、これに対して株主が自らそれらにかかわった役員に対して責任追及の訴えを提起しました。
当該株主は提訴後、シャルレに対して訴訟告知を行いましたが、シャルレはこれに対して原告被告のどちら側にも訴訟参加しないことを表明しました。
訴訟告知というと参加的効力を及ぼさせるためのものですが、責任追及の訴えを株主がする場合、株主は訴訟担当に該当しますので、会社に訴訟の結果が及ぶことは当然です。
代表訴訟を株主が提起した場合には、遅滞なく訴訟告知をしないといけませんが、これは参加の機会を与えるためということになります。
会社法
第849条(訴訟参加)
株主又は株式会社は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、責任追及等の訴えに係る訴訟に参加することができる。ただし、不当に訴訟手続を遅延させることとなるとき、又は裁判所に対し過大な事務負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
2 株式会社が、取締役(監査委員を除く。)、執行役及び清算人並びにこれらの者であった者を補助するため、責任追及等の訴えに係る訴訟に参加するには、次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定める者の同意を得なければならない。
一 監査役設置会社 監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、各監査役)
二 委員会設置会社 各監査委員
3 株主は、責任追及等の訴えを提起したときは、遅滞なく、株式会社に対し、訴訟告知をしなければならない。
4 株式会社は、責任追及等の訴えを提起したとき、又は前項の訴訟告知を受けたときは、遅滞なく、その旨を公告し、又は株主に通知しなければならない。
5 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「公告し、又は株主に通知し」とあるのは、「株主に通知し」とする。
代表訴訟における会社の訴訟参加というと、被告取締役側への補助参加が問題となったこともありましたが、本件においては経営陣が交代していることもあり、どちらにも参加しないという結論になってしまいました。
原告側にも参加しないのは、提訴請求に応じなかったというこれまでの事実関係からいくと、当然の反応ですが、そもそも経営陣の交代をしたにもかかわらず、責任追及をしようとしないこれまでの態度もやや不可解でしたので、やや割り切れないものを感じます。