日本航空再建の迷走ぶりはひどいものですが、今日の報道はさすがにやや気になりました。
京セラの稲盛名誉会長をCEOにしようという政府の考えについてです。
国民に知名度のある人をやたらと登板させようとするのは内閣の顔振りからして明らかですが、民主党と懇意の数少ない経済人である稲盛会長にしようというのは世論を意識しているのが少なからずあると思います。
実績のある有名な経営者であることは衆目が一致すると思います。
しかし、それでもどうだろうと思います。
運輸業って難しいです。
製造業が簡単だなんていうつもりはなく、作ってから売るまでしないといけないむしろそちらのほうが難しいのですが、運輸業というのはそれらを成し遂げることができてもなお難しいと思います。
人手を多く抱えざるを得ず、仕事がルーティンになりがちであり、社員によって職種がばらばらであるために会社内組織みたいのができやすいのです。
そして安全という品質と似ているようでちょっと違う価値が、場合によっては利益追求よりも上にきます。こういう組織で経営者が隅々まで意識をいきわたらせるのは非常に難しいです。
また、日本の津々浦々に行かねばなりません。すると経営危機の原因でもあるのですが、政治が介入してきます。経営合理性によって動かないこれらの勢力と伍していくのは大変なことです。
COOを内部から登用するつもりのようなので、細かい差配まではしない立場を担ってもらうつもりなのかもしれませんが、それだとなおさら会社の体質の変革は難しいと思います。
こういう特殊な業種を立て直すのは、アイデアがすばらしいなどの優秀な経営者はあまり向いていないように思えるのです。
もしかしたらまったくの見当違いかもしれず、そうあってほしいと思いますが、政治が介入する会社に未来はありません。これだけは正しいと思っています。