最高裁、商品先物取引で委託玉と均衡するように自己玉を建てる商品を専門的知識のない顧客から受託する場合には、商品取引員の従業員は信義則上、自己玉を建てることについて説明義務を負うと判示


商品先物取引で、顧客が委託した取引内容とまったく逆の取引を受託した商品取引員が同時にするという取引方法があります。もっともこれは商品先物取引だけに限らず、別のものについても存在しています。

これだと、どちらかが損を出した場合には同額の利益が他方に生じることになります。このような取引がなぜあるのか自体疑問にもたれるかもしれませんが、その点はさておいておきます。

このような委託玉と自己玉を建てる取引を、商品取引員(会社のことです)が、専門的知識のない顧客に勧めて、その結果、顧客に損失が出たという事件で商品取引員に対して損害賠償請求がなされたのですが、最高裁が説明義務に関して判示をしました。

最高裁判所第二小法廷平成21年12月18日判決 平成21(受)629 損害賠償請求事件

最高裁はこの場合の説明義務について以下のように判示をしました。

特定の商品(商品取引所法2条4項)の先物取引について本件取引手法を用いている商品取引員が専門的な知識を有しない委託者から当該特定の商品の先物取引を受託しようとする場合には,当該商品取引員の従業員は,信義則上,その取引を受託する前に,委託者に対し,その取引については本件取引手法を用いていること及び本件取引手法は商品取引員と委託者との間に利益相反関係が生ずる可能性の高いものであることを十分に説明すべき義務を負うものというべきである。

プロの投資家ではない者から、委託の相手である会社が実は自己玉を建てるような取引を受託する場合には利益相反が生じうるものであることを説明するべきとしたものです。

契約の付随的義務の論点で、投機的契約における説明義務に関する判断が最近増えてきていますが、それについて新しい一件が付け加えられたものといえます。

最高裁の判例としては、変額保険と土地の有効利用を持ちかけて融資をうけさせたという二件について、説明義務違反が認められたことがあります。

今回の判例も慎重な言いまわしをしており、専門家ではない顧客に対する場合に射程を限定していますが、大きな流れとして投機的取引をアマチュアに勧める場合には説明義務が認められるということができましょう。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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