東証一部上場企業の社外取締役の4割が大株主出身であることが明らかに


会社法の定義するところの社外取締役の概念に問題があり、経営監視のために真の独立した社外取締役を検討する向きが最近相次いでおり、このブログでも関連する情報を取り上げてきました。

JAPAN LAW EXPRESS: 日本取締役協会の調査で東証一部上場企業の社外取締役の3分の1は独立性が低いとの結果

JAPAN LAW EXPRESS: 東証1部上場主要企業の社外取締役の過半数が兼務しているとの調査結果が公表される

JAPAN LAW EXPRESS: 東証、上場会社に独立役員を義務付けへ

上記のエントリーで取り上げた内容と関連がありますが、とある調査により、東証一部上場企業の社外取締役の4割が大株主出身であるという結果が明らかになりました。

「東証1部」の社外取締役、大株主出身が4割 独立性に懸念(日本経済新聞2009年11月23日)

東証1部上場企業の社外取締役の4割近くが親会社などの出身で、経営陣からの独立性が低い懸念があることが、民間の調査で分かった。

(略)

今回の調査によると、東証1部上場企業の半数近くに当たる794社が、延べ1557人の社外取締役を起用している。 (07:00)

ここでいう大株主とは、親会社も含むので、多くなるのは当たり前です。会社法の社外取締役の定義は一方通行になっておりグループ会社間で社会取締役の人材の融通を可能にしているからです。

会社法

第2条(定義)

十五 社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。

上記の条文から明らかにように子会社から見て親会社の役員等を社外取締役とすることができます。これと委員会設置会社を組み合わせることで、子会社の役員の人数を抑えることができて人件費を少なくできるからです。

しかし、このような使い方はグループ内の完全子会社で活用されるべきものであり、東証上場企業でそれが目立つのは、日本には親子上場が多いということを如実に示していることになります。

この調査の結果わかるのは社外取締役がいるはずなのに案外独立性がないということだけではなく、親子上場(親子関係まで行かないまでも支配株主の企業がいるのに上場を維持している場合もあります)が依然多いということになります。

諸外国は、日本の親子上場には極めて厳しい目を向けており、親子上場の解消を図った日立のケースは海外から大変注目を集めました。

JAPAN LAW EXPRESS: 日立、上場しているグループ会社5社にTOBで完全子会社化 親子上場解消へ

日本の株式市場は政治的な要因で極めて低迷していますが、こういった従来からある問題の解決が図られていないことも潜在的に影響しているでしょう。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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