パワハラを受けてうつ病になり、休職をしてその後、病気休職の期間が長くなったことから退職した(病気休職のくだりは報道による事実関係から推認して補ったものです)という事実関係で、退職した元社員が、パワハラをしたと主張する上司と勤務先を訴えた事件で判決が出ました。
元社員は退職による逸失利益まで含んでのことだと思いますが5000万円を請求していたのですが、鳥取地裁米子支部は、パワハラを認めつつも退職との因果関係を否定、慰謝料など330万円の認容にとどまりました。
パワハラでうつ病、慰謝料命じる 「上司の行為で発症」認定(47NEWS)
上司のパワハラでうつ病になり退職に追い込まれたとして、鳥取県米子市の50代女性が、勤務先だった富国生命保険(東京)と元鳥取支社長らに5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鳥取地裁米子支部は21日、慰謝料など330万円の支払いを命じた。
村田龍平裁判官は判決理由で「女性のうつ病は上司の配慮を欠いた行為がきっかけで発症した」と認定したが、退職については因果関係を認めなかった。
判決によると、上司の元鳥取支社長や元米子営業所長は2003年、ほかの社員がいる前で仕事上のことで女性を問いただすなどした。女性は同年7月、ストレス性うつ病と診断され、休職を経て、05年に自動退職となった。
(略)
具体的な態様がよくわからないのですが、部下を問いただすやり方によってはパワハラになるという判断が下されたことになります。何か意図のあるよほど威圧的なものだったならパワハラでしょうが、この報道ではよくわからないのでなんともいえません。
事実認定以外のポイントとしては、パワハラに関して使用者の責任を認めている点に注目されます。当然ですが安全配慮義務のようなことだと思われますが、使用者責任と安全配慮義務のどちらの構成をしているのかも報道からはわからないので、追って確認したいと思います。
セクハラなどの裁判例とパラレルに考えると、安全配慮義務的な判断になるのではないかと思われます。
次に、退職との因果関係を否定した点が注目されます。これは単純に考えるとよくわからないのですが、ほかに何か事実があるのかもしれません。この点も追って検討したいと思います。