日本興亜損保、前会長が社長等経営陣の解任を求める株主提案


日本興亜損保が内紛状態であることは以前からお伝えしていますが、経営陣と対立している前会長などが個人株主の資格で、紛争の原因となっている損害保険ジャパンとの経営統合を諮る臨時株主総会に社長等の経営陣の役員解任を求める株主提案をしていることが明らかになりました。

この株主提案に特徴的なのは、条件がついていることで、経営統合が否決された場合に解任を諮るという内容のものになっています。

株主提案権行使に関する書面の受領に関するお知らせ

条件がついている株主提案というのはあまり例がないように思われるのですが、会社法的に禁止されるようなものではないでしょう。

しかし、株主総会を行う会社の側の行為規範としてはどうでしょうか。

仮に経営統合の議案の賛否が微妙であった場合に、経営統合が承認されたとして株主提案は賛否を問わずに終了してしまったいいものでしょうか。

経営統合は特別決議ですから、可決されるか微妙になることは現実的にないとは言えないので、これはまったく考えなくていい問題とまではいえないのではないでしょうか。

下手に強引に進めて解任議案をしないですませてしまうと、経営統合の議案の再集計の行方によっては、解任議案を採決しなかったことが株主総会決議取り消しの訴えの取消事由の決議の方法の法令違反や著しい不公正(831条1項1号)に該当するかもしれません。

しかしここでまた別の問題なのですが、そもそも議案を扱わないというのは決議がないことになりますが、それを取り消すことは観念できるのでしょうか。またこの場合、仮に取消ても、再度総会決議をできるわけでもないので、あまり意味がないように思えます。

では解任の訴えはどうでしょうか。

解任の訴えは、解任議案が株主総会で否決されて初めて提起できるものですが、条件付解任議案で条件が成就しなかったとして何もしなかったのは否決されたことになるのでしょうか。

非常によくわからない点が多いですが、経営統合が微妙な差なら念のために採決してしまえばいいのかもしれません。

しかし役員解任議案なんて会社にとってはあまり気持ちのいいものではないで、慎重を期すにしてもためらわれるものです。

書面投票では一応載せて賛否を記入してもらうしかないでしょうから、実質的には解任についても株主に意向を問うようなことになるのでしょうが、難しい問題です。

統合議案の行方が微妙な情勢であり、反対派が委任状勧誘を行ったりしたら会社にとっては非常に面倒な事態になりそうです。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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