学研、会社分割に反対した筆頭株主から株式買取請求権の行使を受ける


学研は6月25日の定時株主総会で会社分割の承認を受け、事業を分割することになっていますが、これに反対した株主から9月30日に株式買取請求権の行使を受けたことが明らかになりました。

この株主は発行済み株式総数の19.81%を保有する株主とリリースで言及されており、有価証券報告書などと照らし合わせると筆頭株主であることが明らかになります。

株主様からの株式買取請求に関するお知らせ

学研公表の大株主

上記リンク先情報によると、筆頭株主は信託口ですが、大量保有報告書から調査すると、実際の筆頭株主は村上ファンドの関係者が設立したエフィッシモ キャピタル マネージメントです。

エフィッシモはこれまでも、難解か学研に対して株主提案等で動きを見せていましたが、株式買取請求権行使という形で撤退することになったもようです。

さて、基本の確認ですが、この場合の株式買取請求権は、本件の会社分割は新設分割ですので会社法806条1項になります。

第806条(反対株主の株式買取請求)

新設合併等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。

一 第八百四条第二項に規定する場合

二 前条に規定する場合

2 前項に規定する「反対株主」とは、次に掲げる株主をいう。

一 第八百四条第一項の株主総会(新設合併等をするために種類株主総会の決議を要する場合にあっては、当該種類株主総会を含む。)に先立って当該新設合併等に反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該新設合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)

二 当該株主総会において議決権を行使することができない株主

3 消滅株式会社等は、第八百四条第一項の株主総会の決議の日から二週間以内に、その株主に対し、新設合併等をする旨並びに他の新設合併消滅会社、新設分割会社又は株式移転完全子会社(以下この節において「消滅会社等」という。)及び設立会社の商号及び住所を通知しなければならない。ただし、第一項各号に掲げる場合は、この限りでない。

4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

5 第一項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は、第三項の規定による通知又は前項の公告をした日から二十日以内に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。

6 株式買取請求をした株主は、消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。

7 新設合併等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。

基本的なことですが上記から、実際に行使をするには、株主総会前に反対の旨を会社に通知して、かつ、実際に総会で反対することが必要です。

よって、当然に把握済みのことが実際に行使されたというだけのことになります。

今後は買い取り価格をめぐる交渉になりますが、折り合うことができないと、価格決定の申立てになり、司法の場で争われることになります。

価格決定の申立てがなされる場合は、経営権争奪や少数株主追い出しの性格のある場合が多いです。今回のケースではそういうこじれ方はしていませんが、ファンドとしては回収したい金額があるでしょうし、会社としても説明のつかない金額を払うと役員は任務懈怠になるでしょうから、難しい局面になる可能性もあるかもしれません。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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