国際的に事業を展開している企業同士が統合などをすると、統合審査を必要とする点で日本国内の独禁法の問題になるだけではなく、事業を行っている国や影響の及ぶ先の国でも独禁法の問題となりえます。
欧州委員会が競争法に関してやかましいことは周知のことですが、新たに独禁法を施行した中国も早くも企業の統合審査に存在感を発揮しています。
M&A、独禁法対応で遅れ 海外審査に時間(日本経済新聞2009年9月22日)
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ここへきて大型再編のハードルが高くなっている背景には、昨年8月に独禁法を施行した中国の存在がある。三菱レイヨンによる英化学大手ルーサイト・インターナショナル買収では、当初計画より成立がほぼ4カ月遅れた。中国当局が買収後にアクリル樹脂原料の中国シェアが6割を超えると指摘し、審査が長引いたためだ。今年4月下旬に認められたが今後5年間、現地生産した製品の半分は原価と管理費だけを反映した価格で売るように義務付けられた。(07:00)
このほか本紙面の記事では、東芝による富士通のHDD事業買収が延期になっていることも中国の審査のためとの見方が多いこと、パナソニックによる三洋電機の子会社化も米、欧、中国で審査が進行中でありることが紹介されています。
競争法の役割が大きくなってきているのは世界的な潮流ですし、そもそも大規模な再編をすると問題になってくる類のものなのでここに来て目立つようになったのは当たり前でもあります。
しかし中国当局のつける条件は、競争環境を維持するという意味で行われるべきという観点から考えるとかなりすごい内容を含んでいることが多いように思われ、やや特殊な感じを受けます。