日本取締役協会の調査で東証一部上場企業の社外取締役の3分の1は独立性が低いとの結果


日本取締役協会の「上場企業のコーポレート・ガバナンス(社外取締役)調査(2009)」が公表されました。

社外取締役に関する総合的な実情調査ですが、興味深い結果が出ているように思われました。

すべてに関して重要ですが、特に昨今、与党となった民主党が以前から検討している公開会社法と関連するところを見てみたいと思います。

公開会社法の素案では社外取締役の要件を厳格化することが提唱されていますが、この調査でも社外取締役のうち、法的には社外取締役であっても、実質的に独立性が特に高い取締役とそうではなく社外取締役の定義が一方通行になっていることなどを利用して実質的には「社外」とはいえないような取締役を分けています。

その際の独立性の要素としては、

東証コーポレート・ガバナンス報告書の記述(会社との関係、補足説明)から、a 親会社出身、
b 関係会社出身、 c 大株主、 f 特定関係事業者業務執行取締役、執行役等の配偶者等親族その他、g 親会社・
当該親会社の子会社から役員としての報酬等その他の財産上の利益授受を除いた場合。

としており、この観点から法的には社外取締役である実際の取締役たちを峻別をした結果、以下のようになったとれています。

東証1 部上場企業1,698 社で、社外取締役を選任している企業は787 社、そののべ人数は1,552 人と
なる。そのうちより独立性がより高いと思われる社外取締役(以下、独立取締役と表現)の数は、1,043
人となった。

約3分の1が「社外」という語から想起されるほどの独立性を有していないことが明らかになりました。

この現状は、提唱されている公開会社法の社外取締役要件の厳格化の必要性を肯定する方向に作用しそうですが、一方で何か弊害がおきているかも問題であり、社外取締役の供給が十分ではないのだという経済界から言われている言説を補強するものにもなりえます。

私見では、社外取締役の候補がそれほどいないわけでもないと思われますし、社外取締役の定義がゆるいことを利用している例も見受けられ、それらはガバナンスを緩めているのではなく、子会社を委員会設置会社で役員の数を抑えるのに使っている例が多く見られます。これらの現状も考慮に入れると、社外取締役の要件を厳格化するべきとまでいえるかはまだわからない感じがします。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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