社会的責任ある仕事


今日の日経の朝刊の記事で、三菱東京フィナンシャルグループがUFJとの経営統合を急いだ理由について、株式の時価総額で圧倒的に勝るシティグループが株式交換によって三菱東京を買収する脅威から逃れるためであったというような記事が載りました。
その前提として、来年の商法改正で外国会社との株式交換が解禁される方向であるとの記載もありました。

何度も書いていますが、会社法が制定されても外国会社との株式交換は可能にはなりません。
法制審議会も合併対価の柔軟化は進める方向ですが、外国会社との株式交換は認めない方向です。(そもそも認める認めないではなく原理的に無理なのですが…)

合併対価の柔軟化によって在日の子会社を使った三角合併はできることになりますが、親会社または子会社の従属法が子会社による親会社株式の取得を禁止している場合は子会社が日本にあっても取得を認めないでしょうから、法的には外国会社による三角合併は難しいといえます。

また実務的にも在日子会社に時価総額がとても大きい親会社の株式を株式交換に使えるだけ流し込むのには相当の難があるでしょうから簡単にはできるようにはなりません。

このように厳密に検討すると記事に書いてあるシティからの株式交換による買収は、多分、杞憂なのですが、日経ともあろう新聞社が不安を煽ることを書いてしまったいいのでしょうか。
まるで慎重さを欠いている三菱東京への援護射撃のようです。

多分、忙しいのにもかかわらず、沢山ある複雑な社会制度を扱い、その上ある程度専門的に書かねばならないという無理がたたっているのだと思いますが、それにしても社会的影響力の大きい新聞が間違うと行動を誤ってしまい損害をこうむる人もいるでしょうから、やはり記事には慎重を期して欲しいものです。

最近「あれっ」と思った日経の記事のもう一つの例は、サラリーマンが無職になってしまった場合のマネープランを指南する記事で、国民年金の保険料を納めなくてよい方法として、配偶者か子供の扶養家族になることがあげられていたのですが、これは大きな間違いでさすがに翌週に訂正記事が出ました。
国民年金の保険料を扶養家族であることで納めなくてよいのは、三号被保険者ですが、これは配偶者の扶養家族である場合のことです。三号がそもそも専業主婦を念頭にしたカテゴリであることを思い出せばわかるはずです。
よって子供の扶養家族になっても一号であることにかわりはありませんので、保険料納付から免れるわけがないのですが、ああ堂々と書いてしまうと誤解する人も出てきそうです。
事実私も自分の知識に自信がなくなり、あれこれと調べてしまいました。

最終的には自己責任ということなのでしょうが、マスコミの影響力が絶大であることは否定しがたいわけで、もう少し努力をして欲しいことろです。
もっとも、自助努力には限界があるというのも重々わかるわけで、日本のマスコミの実力向上の道は険しそうですね。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

One thought on “社会的責任ある仕事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)