ヤマト運輸の関連会社で就労していた自閉症の男性が自殺した事件で和解が成立


使用者には労働者に対して安全配慮義務があり、労働契約に起因して労働者に何か起きた場合、会社側が責任を負うことがあります。

もっともこれは債務不履行、不法行為といった民法上の責任として構成されるために、予見可能性などの要件が満たされないと、使用者に帰責することはできないことになります。

そこで、事例ごとにそれぞれの特性に左右された事例判断が多く積み重ねられているわけです。

そのような中で、知的障害を伴う自閉症の男性が自殺をしたという事例で職場の配慮不足が原因として使用者を相手取って損害賠償請求をしていた事件で控訴審で和解が成立しました。

従業員自殺巡る賠償請求で和解 ヤマト運輸系が見舞金(日本経済新聞2009年9月3日)

ヤマト運輸の関連会社(東京)に勤めていた知的障害を伴う自閉症の男性(当時46)が自殺したのは、上司の厳しい言葉など職場の配慮不足が原因として、母親がこの会社に6500万円の損害賠償を求めた訴訟は3日、東京高裁(大橋寛明裁判長)で和解が成立した。

和解条項には、会社側が見舞金として500万円を支払うほか、障害者を支援する人材を職場に配置したり、障害に関する社員教育を実施したりすることが盛り込まれた。和解後に記者会見した母親は「和解ができて肩の荷が下りた。今後の障害者の職場のあり方につなげてほしい」と話していた。

(略)

第一審は請求を棄却していたのですが、控訴審で見舞金という形で支払いを受けることになりました。

和解で終わったために、知的障害を持つ労働者を雇用した場合に使用者が負う安全配慮義務の具体的内容が判示されることがなくなってしまいました。

しかし、電通事件に照らして考えても、労働者の精神衛生に配慮する義務はあるでしょうから、障害に起因する者に対しても、しかるべき配慮義務を肯定できると思われます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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