ビューティ花壇、会社が監査役の交代を考えたところ、監査役続投の株主提案がでたため、会社提案の監査役選任議案に監査役の同意が得られない事態に


葬儀祭壇用の生花業で東証マザーズ上場のビューティ花壇で、株主提案をめぐり奇妙な状況が生じています。

株主提案をしているのは創業者であり大株主の名誉会長で、自らと子会社の役員の役員選任と、現在の監査役の再任の株主提案をしています。

これに対して、会社は現経営陣の役員選任と監査役の交代を提案する意向であるために、対立が生じています。

当社定時株主総会における株主提案権行使に対する当社の考え方について

役員選任議案に関する会社提案と株主提案の対立だけなら支配権をめぐる争いというだけですが、今回は監査役選任議案が関係しているために、対立がそのまま会社法の問題も生む事態になっています。

会社法の条文によると、監査役には会社提案の監査役選任議案に拒否権があります。

第343条(監査役の選任に関する監査役の同意等)

取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。

2 監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。

3 監査役会設置会社における前二項の規定の適用については、第一項中「監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)」とあるのは「監査役会」と、前項中「監査役は」とあるのは「監査役会は」とする。

4 第三百四十一条の規定は、監査役の解任の決議については、適用しない。

具体的には、監査役(監査役設置会社の場合は監査役会)の同意を得ないと取締役は監査役選任議案を提案することができません。

これは平成13年の商法改正(議員立法)で監査役の強化のために入れられたもので会社法でも引き継がれ、適用対象を一般化したものです。

本件では、株主提案によると監査役は再任されるのですが監査役はこちらに賛同しており、会社提案に同意しませんでした。

よって会社は343条の要件を満たさないという状況になっています。

ビューティ花壇としては、監査役選任議案について株主提案しかない状況になり、それには当然反対しています。よって、株主提案の議案が否決されたら、一時監査役の選任を求めることで対処する意向とされています。

しかし、今回のことで監査役の同意権が案外強力であることが浮き彫りになったように思われます(以下の記述は本件におけるビューティ花壇の現監査役が自分の利益の観点から行動していると考えるものではなく、抽象的に検討しているだけです)。立法趣旨からいくと監査役の同意権は会社に都合のいい監査役に交代させようとするようなことを阻止するためのものでしょうが、支配権争いのもとで自由裁量で同意をされると大変なことになると思われます。

監査役も善管注意義務を負うので自分の利益の観点から同意権を行使した場合には、任務懈怠になりますが、それはあくまで監査役の責任の話で会社提案の方の要件はどうにもならないように思われます。そうなった場合、監査役の解任を諮るほかないのでしょうか。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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