北陸ミサワホームが普通株式に全部取得条項をつける手法での非公開化を企画して、第一段階の定款変更が承認されました。
当社の非公開化等のための定款の一部変更及び 全部取得条項付普通株式の取得に関する承認決議のお知らせ
このスキームは、要するに牛角のレックスHDのMBO事案でも使われたものです。
具体的には以下のような手順になります。
- 定款変更で普通株式に全部取得条項をつける
- 特別決議で株式を取得。対価には交換比率を調整した株式をあてて、引き続き株主となる株主以外には端数のみの割当になるようにする
- 端数を現金交付で処理
本件特有のポイントではないのですが、いくつか確認しておきたい点があります。
まずは、1に関連してですが、既発行株式に会社法108条に規定されている種類株式の内容を付する場合には定款変更で行います。
また3についてですが、会社法234条により、1に満たない端数の株式は現金で処理することができます。これは極めて大きな意義を有して、少数株主の退場に活用されています。
その代わりに株主の保護のために、反対株主の買取請求権と価格決定の申立てが用意されているわけです。
この場合に、価格決定の申立てで適正対価をめぐって問題となったのが牛角事件であったわけです。
牛角事件の当否はともかくとして、これで使われたゴーイングプライベートの手法は実績を積み重ねていることが改めて分かる一件です。
さて、上記リリースでは全部取得条項をつけた後の株式を全部取得条項付普通株式と呼称されていますが、何だか妙なネーミングに感じます。