アーバンコーポ事件を機に再び金商法157条活用論が提唱される


金融商品取引法には、相場操縦の禁止など禁止行為が列挙されていますが、抽象的な規定もおかれており、証券市場に関する立法では具体化されていない行為も規制することができるように条文上はなっています。

第157条(不正行為の禁止)

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、不正の手段、計画又は技巧をすること。

二 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等について、重要な事項について虚偽の表示があり、又は誤解を生じさせないために必要な重要な事実の表示が欠けている文書その他の表示を使用して金銭その他の財産を取得すること。

三 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等を誘引する目的をもつて、虚偽の相場を利用すること。

しかし、この金商法の行為規制には、反した場合に罰則が用意されています。よって刑事法の構成要件でもあるわけですが、上記の157条はあまりに抽象的過ぎて耐えられないとして、この条文は使わないものであるという不文律があります。

しかし近時、あまりに市場において実例があまりなく具体的な規制には抵触しないものの欺瞞的な行為が目立つせいか、157条の活用論が提唱されるようになって来ました。

昨日(8月20日)の日経夕刊にアーバンコーポレーション事件でのBNPパリバの行為を157条で刑事訴追すべきとする見解が紹介されていました。

その中に太田洋弁護士の見解が紹介されていたのですが、BNPパリバがアーバンと交わした契約であるCBとスワップの組合せは、日々のアーバン株式のVWAPの9割を行使価格とする新株予約権の無償で第三者に割り当てるものであり有利発行に該当することから、アーバンは特別決議を得る必要があったのにそれをせず、そのようなことを働きかけたBNPパリバは157条1項で処断するべきであると主張しておられます。

アーバンのスキームを実質的に有利発行であると評価する点と有利発行なのに特別決議をとらずに自らへの割当を進めたのは投資家を欺く行為であると評価するというニ点に特徴があるように思われます。

これまでの抑制的な157条の解釈論から行くと、上記のような解釈をするにはかなり積極的な態度の変更が必要で難しいものがありますが、それだけ市場が欺罔されてきているという現実があるともいえましょう。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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