最高裁、弁護士が債権回収の手段として係争物の債権の譲受をする行為は弁護士法28条違反であっても公序良俗に反しない限り私法上の効力は否定されないと判示


弁護士法28条に係争物の譲受の禁止の規定があります。

第28条(係争権利の譲受の禁止)

弁護士は、係争権利を譲り受けることができない。

よって弁護士は係争物を依頼人から譲り受けることはできません。弱みにつけ込むようなことになりかねないからですが、これに反することを正面からやってしまった事案があり、問題となりました。

最高裁判所第一小法廷平成21年08月12日決定 平成20(許)49 債権仮差押命令保全異議申立てについての決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告事件

この件は原告が日本国内に支店営業所がない外国法人であるために債権回収に難があることから弁護士が便宜のために債権譲渡を受けてしまったというものです。

そこで、弁護士法28条との関係でその譲渡の有効性が問題となり、訴訟要件を欠くのではないかという問題になってしまいました。

原審は、弁護士法28条に反する場合には債権譲渡の私法上の効力は否定されるという見解を示したのですが、最高裁はこれを否定して弁護士法違反と私法上の効力は別だとしました。

債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は,他人間の法的紛争に介入し,司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われたなど,公序良俗に反するような事情があれば格別,仮にこれが弁護士法28条に違反するものであったとしても,直ちにその私法上の効力が否定されるものではない

私法上の効力を否定するというのはよほどのことなのでこの判示が最高裁から出てくるのは当然でしょう。

なお宮川裁判官の補足意見がついており、弁護士法28条に違反しないとしても弁護士職務基本規程17条に同種の規定があることから係争物の譲受をすることは「品位を失うべき非行」に該当するとしています。すると懲戒処分を受けかねないということになりますので、絶対に行ってはいけないという厳しい規律を弁護士に課すことになりましょう。

(係争目的物の譲受け)

第十七条 弁護士は、係争の目的物を譲り受けてはならない。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)