本日の日経に載っていた記事なのですが、上場企業で株式も持合が復活しているとのことです。
しかも従前は持合関係になかった企業間でも持合の実例が出ているようです。記録しておく意味があると考え取り上げます。
上場企業、新たな株持ち合い続々 東芝とキヤノンなど(日本経済新聞2009年8月14日)
上場企業の間で株式の持ち合いが増えている。東芝とキヤノン、三菱電機と三菱地所など有力企業が新たに株式を相互取得したことが明らかになった。持ち合い比率は3年連続で上昇。提携関係の強化などが目的で、発行済み株式総数の1%未満と小幅なケースが多い。ただ株式相場が低迷した2008年度は上場企業による保有株式の評価損計上が相次いだこともあり、株主の目は厳しさを増しそうだ。
(略)
ネットでは省略されていましたが、本紙面では代表的な持合関係について企業名が出ていましたので以下に引用します。
取引先との関係強化 | |
東芝 | キヤノン |
JR東日本 | 川崎重工 三菱電機 |
パナソニック | ダイキン工業 |
日本製鋼所 | 東レ 住友金属 日本風力開発 大同特殊鋼 明電舎 電気化学工業 |
ローム | 日本電産 オムロン |
日本写真印刷 | 堀場製作所 日本電産 |
王子製紙 | 凸版印刷 |
日清紡HD | オンワードHD |
財閥系の関係強化 | |
三菱電機 | 三菱地所 |
東レ | 三井不動産 |
敵対的買収・株主総会対策 | |
学研 | 富士ソフト 早稲田アカデミー |
会社法的には株式の持合は、反対を気にしなくてよい議決権があるということでコーポレートガバナンスの機能を低下させるので問題があります。
またファイナンスの観点からも、会社が株式を持つというのはもっとも非効率な資本政策です。よって、グループ内関係の構築や支配権をめぐって持分を取得するのない限り、無駄遣いと言わざるを得ません。
株価対策などを考えてやっているのなら、かえって株価を下げかねません。もっとも取引関係を維持するために出資するというのは一定程度合理性がありますが、よく考えると少数持分しかない相手に遠慮することは資本多数決の考えからいくとあまり理由のあることではないので、やはり持合に積極的意義はないと考えるのが妥当でしょう。