監査役の選任ついては会社法で会社の機関構成によって様々な規制が定められていますが、上場している大企業で考えると、(委員会設置会社ではない限り)監査役会設置会社であることが多いですから、監査役は3人以上で半数以上が社外監査役である必要があります。
第335条(監査役の資格等)
第三百三十一条第一項及び第二項の規定は、監査役について準用する。
2 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
3 監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。
余談ですが短答のための知識としては、過半数ではなく半数以上であるところに注意が必要です。
本論ですが東証一部大証一部上場の東洋機械金属で、選任した社外監査役が社外監査役の要件を満たさないことが発覚して選任を辞退したことから、監査役が2名になってしまい上記の3名を割り込むことになるので、神戸地裁に一時監査役の選任を申し立てて決定を受けて選任したことがリリースされました。
社外監査役の定義が会社法の定義規定にありますが、社外取締役と似ています。当該会社かその子会社の役員等や使用人でなかったことという一方通行的な規律になっています。
第2条(定義)
十六 社外監査役 株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。
東洋機械金属の件で具体的にどのようなことで要件を満たさなかったのかは不明なのですが、2条16号にあたらないのを失念したというのは、それほどあることではないと思います。
なお、一時監査役選任の根拠規定は以下の346条になります。
第346条(役員等に欠員を生じた場合の措置)
役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
2 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
3 裁判所は、前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4 会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
5 第三百三十七条及び第三百四十条の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。
6 監査役会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査役会」とする。
7 委員会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査委員会」とする。
この346条についてはかなり判例裁判例など実例が出ていることはすでにこのブログで何回か取り上げているとおりです。