東京高裁、楽曲配信事業をめぐって公取委がJASRACに出した排除措置命令を執行停止


音楽の楽曲配信事業に関して私的独占があるとして公取委がJASRACに排除措置命令を出したことは大きな衝撃を与えましたが、この件の続報です。

東京高裁が確定するまでの間、排除措置命令の執行を停止したことがJASRACから公表されました。

東京高裁、公取委の排除措置命令について執行免除を決定

排除措置命令が出ても審判とその後の審決取消訴訟で争う場合には、執行停止が独禁法に定められています。

第70条の6〔排除措置命令の執行免除〕

公正取引委員会が排除措置命令をしたときは、被審人は、裁判所の定める保証金又は有価証券(社債、株式等の振替に関する法律第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。次条第一項及び第七十条の十四において同じ。)を供託して、当該排除措置命令が確定するまでその執行を免れることができる。

②前項の規定による裁判は、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)により、これを行う。

独禁法には条文見出しがありませんので、会社によっては裁判所による方は執行免除と表現しているところもあります(上記引用条文参照)。JASRACはそちらの表現に依拠してリリースを書いた模様です。有斐閣では後述する公取委のものも含めてどちらも執行停止としています。

さて、執行停止については審判請求をした場合には公取委が自ら執行停止をすることもできますが、本件ではしなかったらしく、裁判所の方になっています。

第54条〔排除措置命令の執行停止〕

公正取引委員会は、排除措置命令に係る審判請求があつた場合において必要と認めるときは、当該排除措置命令の全部又は一部の執行を停止することができる。

②前項の規定により執行を停止した場合において、当該執行の停止により市場における競争の確保が困難となるおそれがあるときその他必要があると認めるときは、公正取引委員会は、当該執行の停止を取り消すものとする。

ちなみにこの執行停止の意義ですが、従来から行っていた楽曲の使用方法ができなくなってしまいますので、とりあえず従前のままのやり方で続けるためのものです。

JASRACはこの件に関して徹底して争う姿勢を示していますので、最終的な決着は当面見込めない模様です。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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