セブンイレブンオーナーの一部が労働組合を結成と主張 本部に団体交渉を求める方針


丁々発止のやり取りが相次いでおり、フランチャイズビジネスが大きな変革のときを迎えているように思えるコンビニ業界ですが、今度はセブンイレブンのフランチャイズオーナーの一部と他のコンビニのオーナーが労働組合「コンビニ加盟店ユニオン」を結成、本部と団体交渉をしていく方針を明らかにしました。

セブン─イレブンのオーナー有志、労組結成(読売新聞2009年8月4日)

コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパン加盟店の一部のオーナーらが4日、岡山市で労働組合の設立大会を開いた。

セブン本部側に団体交渉を求め、フランチャイズ契約で事実上義務付けられている24時間営業や、本部に支払っている手数料の引き下げなど契約内容の見直しを通じて労働環境の改善を図るのが目的だ。

労組の名称は「コンビニ加盟店ユニオン」で、コンビニ店オーナーによる労組結成は初めて。大会にはセブン加盟店約1万2000店のうち約230店舗のオーナーが参加。他のチェーンから約30店舗のオーナーも出席した。執行委員長には、セブン店オーナーの池原匠美さん(42)(岡山市)が就任した。

セブン本部は、オーナーと個別にフランチャイズ契約を結んでいることなどを理由に団体交渉には応じない方針だ。

このためユニオンは、各都道府県にある地方労働委員会のいずれかに救済を申し立て、団体交渉を求めることも検討する。

厚生労働省は「コンビニ店オーナーは(一般の労働者と異なり)労働の対価として本部から給料を得ているわけではないが、労働組合法上の労働者ではないと一概に言えない面もあり、地労委の個別判断になる」としている。

(略)

さて、組合が法適合組合であり、義務的団体事項に関することなら団体交渉をする義務が使用者にあります。

よって、ここで問題になるのはコンビニオーナーが労組法上の労働者であるかということと、フランチャイズ契約内容に関することが義務的団交事項といえるかという点です。

本部であるセブンイレブンジャパンは、フランチャイズ契約であり労働契約ではないとして、団交には応じない方針です。

労組法上の労働者を判断するには、労組法3条に定義がありますが、法形式から形式的に判断するのではなく、実質的に使用従属関係にあるかを判断しています。

第3条(労働者)

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

使用従属関係にあるかということは、法形式にかかわらず、契約内容を一方的に会社側が決めている、会社側が強い監督をしている、強い専属関係にある、報酬に労務対価性が強いなどの要素から判断しています。

これだと、労組法上の労働者でも、労働契約法・労基法の労働者と同じになりそうですが、違いはあります。

労組法上の労働者の対概念は労組法上の使用者ですが、これについては部分的使用者概念があって直接雇用している使用者でなくても団体交渉義務が生じることがあります。よって、転じて労基法上の労働者でなくても労組法上の労働者に該当することはあり、これが大きな違いです。

よって、プロ野球選手は労基法上の労働者ではありませんが、労組法上の労働者ではあるわけです。

さて、これを踏まえて、コンビニオーナーを見ると、強い従属関係は認めることができそうです。もっとも報酬を本部からもらう関係になっていないことから、報酬の労務対価性のところにかなり大きな難がありそうです。

また、本件では加盟店は価格決定の自由などを要求しているわけですが、これらが実現されると、会社の監督が弱まることになるので労働者性を否定する方向に作用しそうです。労働者性を否定する方向への団体交渉を求めているような色彩があり、不思議な構造だと思わざるを得ません。

私見では、現在のコンビニの実態を前提としても、コンビニオーナーの労組法上の労働者性は否定されるのではないかと思います。

ちなみに、この労働組合を設立するとしているオーナーは、フランチャイズオーナーのごくごく一部にすぎません。フランチャイズビジネスは、本部に反旗を翻す「戦うオーナー」が必ず出てしまいますが、それに近い動きに思われます。このごくわずかの人たちが会社に反旗を翻すという構造はマクドナルドの店長の管理監督者該当性の事件のときも同じでした。

最近、報道からはいろいろな分野でこういう動きが相次いでいることが分かりますが、熱しやすく冷めやすい報道の一過性のせいでしばらくたつと話題にも登らなくなりますので、会社側が巧妙な手を打つこともあり真の意味での改善は図られていないように思えます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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