京都地裁、賃貸住宅の更新料を消費者契約法違反で無効と判示


建物賃貸借の契約更新において授受される更新料という名前の金銭があります。どういう意味の金銭なのかよく分からないために法的性質について色々と議論があるところなのですが、近時、無効であるとして賃貸人を提訴する事例が相次いでいます。

このたび、更新料を無効とする判決がはじめて京都地裁で23日に出ました。

賃貸更新料は無効 家主に返還命令…京都地裁が初判断(読売新聞2009年7月24日)

賃貸マンションの契約更新の際に「更新料」の支払いを求める契約条項は、消費者契約法に反するとして、京都府長岡京市の20歳代の男性会社員が、支払い済みの更新料など46万6000円の返還を家主に求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。辻本利雄裁判長は「入居者の利益を一方的に害する契約条項」と認定、同法に基づいて、更新料の契約条項を無効とする初の判断を示し、家主に請求全額の支払いを命じた。

(略)

判決によると、男性は2006年4月、京都市下京区のマンションに、賃料月5万8000円、2年ごとの契約更新時に賃料2か月分の更新料を支払う、との契約で入居。08年の更新時に11万6000円を支払ったが、同5月末に退去した。

裁判で家主側は「更新料には賃料の補充的要素がある」などと主張したが、辻本裁判長は「更新後の入居期間にかかわりなく支払わなければならず、賃借人の使用収益の対価である賃料の一部とは評価できない」と指摘。そのうえで、「家主が主張する更新料の性質に合理的理由は認められず、男性に具体的かつ明確な説明もしていない」などとし、契約条項は無効と判断した。

男性は入居時に払った保証金(敷金)35万円の返還も求めており、判決は保証金も消費者契約法に照らして無効とし、請求を認めた。

(略)

さて、結論を導く構成ですが、消費者契約法10条です。

第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

10条の対象となる契約条項には、契約の主要目的に関する条項や物品・権利・役務の対価に関する条項は除外されると解されています。それは取引の結果であり介入は控えるものの、一方で無関係なものが付着する場合を無効とする趣旨ということです。東京地裁判決の全文はまだ見ていないのですが、上記の報道によると賃料の一部であるか否かが問題となっているのだと思われます。

よって問題は更新料なるものの法的性質如何で決まることになります。ここの賃貸借によって事実が異なる可能性もありますが、賃貸借契約での金銭の授受項目は定型的に行われているものなのでそのまま他の場合にも妥当する考え方もできます。よってこの訴訟の今後や同種訴訟の判断が注目されるところとなりましょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

4 thoughts on “京都地裁、賃貸住宅の更新料を消費者契約法違反で無効と判示

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