自然現象への驚愕


今日は日食の日で、特集番組も組まれていました。

日本では天体ショーとしての扱いですが、中国では社会不安にならないように政府は警戒していたようです。インドでは不吉なものと扱われるそうで、例によって川に集まっているシーンが流れていました。

やはり昼間に日が陰ってしまうというのに畏敬の念を感じるのは、科学がこれだけ発達した今日でもなお残っている自然な感情なのでしょう。

日食に不安になるというのは、当然ですが科学知識が一般のものになっていない昔の方がより顕著だったと思われます。

日食ではなく月食なのですが、ローマ帝国時代に極めて象徴的な事象が起きています。

ローマ帝国で初代皇帝アウグストゥスが亡くなった後に、指導者の死に対する不安から軍団兵の心に不安感が生じるのですが、それに漬け込んだアジテーターに扇動されて軍団でストライキが勃発してしまいます。

このストは賃上げと定年どおりの退役を要求する労働争議と化してしまい、極めて勢いが強く、指揮官たちは対応に苦慮するのですが、ちょうどそのとき、月蝕が起きたのでした。

ストをしていた軍団へいたちはこれを不吉なことと捉えて、ストをした自分たちの行動が誤っていたと思って嘆き、それを利用した指揮官たちによって心が揺らいだ軍団兵たちは分断されて、ストは終息するのです。

ここでポイントなのは、月食を非常に大事に捉えてしまうという原始的なところもさることながら、ローマ軍の指揮官たちは月食の原因をしっており、脅えるどころか利用しようとするところです。ローマ時代が科学的に非常に進んでおり、それが指導者たちにとっては当然の知識となっていたことに驚くべきでしょう。

ローマ時代は市民からなる軍団兵を統率する指揮官は、全市民や属州民を相手にする為政者の予備軍でした。軍人は指導者に必要とされる幅広い教養とそつのなさを兼ね備えている必要が本来的に合ったために、当時の政治家に必須の経験であったわけです。

このような総合力を問われる軍団指揮官は、ローマ帝国が蛮族の侵入で混乱に陥って軍団の規模が小規模化して、総合力を問われる指揮官から小集団を率いる軍事技術のプロに変わってしまい、失われてしまいます。後期ローマ帝国で皇帝が小粒になってしまうのは、これが作用して結果としてローマ帝国は下り坂から脱することはできなかったと塩野七生氏は分析しておられます。

私もこの考え方に納得がいくのですが、転じて今日の世界情勢を見ると、あらゆる分野が極度に専門分化してしまっているため、最盛期のローマ皇帝のような総合力を持った人物は中々いなくなっています。これはどう見ても指導者に人材難である日本の混迷に特に当てはまると思われます。もっと皆何とかなりませんかね。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)