東証が8月から施行する第三者割当に関するルールの内容が報道される


東証が上場企業に適用する第三者割当に関するルールを制定することはすでに報道されていましたが、そのとき検討されていた内容は以下のようなものがあげられていました。

第三者割当増資に規制(読売新聞2009年4月15日)

東京証券取引所がまとめる株式上場制度の見直し案の全容が14日、明らかになった。上場企業が大規模な新株発行を行う際などに、以前からの株主の権利を保護する内容で、日本企業が広く行う「第三者割当増資」に対する規制を盛り込んだ。一方で、企業の機動的な資本調達を制約する恐れもある。企業が取引先の金融機関や企業など、特定の「第三者」を引受先に新株を発行する第三者割当増資は、以前からの株主の持ち分が目減りする弊害が指摘されていた。

見直し案の柱は、〈1〉発行済み株式数の3倍を超える新株を発行する企業は原則、上場廃止〈2〉発行済み株式数の25%以上の新株を発行する企業などは、事前に株主総会での承認決議などが必要〈3〉10株を1株にするような「株式併合」で、保有株が1株未満となり議決権を失う株主が生じるような企業も原則、上場廃止――などとなっている。

(略)

ここにきて20日付の日経朝刊の法務面に、検討を経たルールの内容が報道されました。

希釈化率(第三者割当で増加する分の議決権を既発行の議決権総数で割ったもの)が300%を超える場合

株主の利益を侵害するおそれが少ないと認められる場合を除いて、上場廃止

支配株主が異動して、3年以内に支配株主との取引の健全性が著しく棄損された場合

株主の利益を侵害するおそれがあると認められるときは、上場を廃止

希釈化率が25%以上、または支配株主が異動する場合

第三者委員会の意見の入手か株主の意思の確認

第三者割当全般

適時開示、割当先が反社会的勢力と関係がない旨の確認書を提出

※7月20日付日本経済新聞による。

会社法から行くと、新株発行は発行済み株式総数の4倍までしかできないはずではないかと思えますが、株式併合と新株予約権を組合せることでこれを実質的に潜脱する事例が起きており、株式数に着目することに限界があることから、判断基準を希釈化率という概念を立てていることが分かります。

第113条(発行可能株式総数)

株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。

2 定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。

3 定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

4 新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。

第三者割当すべてについて株主総会決議を要求することも浮上したようですが、経済界の反対で見送りになった模様です。

色々な手法を組合せて使えるようになっていることで、既存株主をないがしろにする手練手管が色々と可能になっています。立法は機動性を欠くことから東証の繰り出すソフトローの意義は大きく、実質的に会社法の規制を補完するものとして機能すると思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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