大分地裁、商品先物取引で業者から受け取った損害金に雑所得として課税した課税処分を一部取消し


所得税において、損害賠償による損害金などは非課税所得となります。

所得税法

第9条(非課税所得)

次に掲げる所得については、所得税を課さない。

十六 損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

これは、失ったものを填補しているだけであり、新しく得ているわけではないからです。

しかし、損害賠償であるかどうかは本当に損害があるかによって決まるのであって、当事者が決めた支払名目が「損害賠償金として」となっていればなんでも非課税となるわけではありません。

よって、訴訟の結果損害賠償として認められたならともかく、当事者間で合意した賠償金の支払については、課税されてしまい本当に損害があるかが改めて問題となるわけです。

この論点についてはマンション建設反対運動の承諾金事件が有名ですが、似た事案として、商品先物取引で業者に問題のある勧誘行為があったのか顧客との間で損が出たことについて紛争となり損害金を支払うことで合意したものの、それに課税がされてしまったという事件がおきました。

先物取引損害、和解金は非課税 大分地裁、国の処分取り消し(日本経済新聞2009年7月6日)

商品先物取引による損害をめぐり、業者から損害賠償金などとして和解金を受け取った大分県の男性が所得税を課されたのを不服として、国に課税処分取り消しを求めた訴訟の判決で、大分地裁(一志泰滋裁判長)は6日、原告側主張をほぼ認め、約460万円の課税処分を取り消した。

一志裁判長は判決理由で「和解金は先物取引による損害に基づいて取得したもので、非課税所得に該当する」とした。

(略)

判決によると、男性は先物取引業者の不法行為で約6000万円の損失を被ったとして提訴。その後、2001年に業者側が1900万円を支払うことで和解が成立した。別府税務署は05年、和解金のうち訴訟費用などを除く約1400万が雑所得に当たるとして所得税約530万円を課税した。〔共同〕(00:45)

別府税務署は和解金の大半について課税してしまったのですが、大分地裁はこれを否定してほとんどの課税を取消しました。

課税分が一部残っていますので、損害をめぐる事実認定の違いということになるかと思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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