最高裁、譲渡禁止特約のある債権を譲渡した譲渡人は、譲受人に対して譲渡の無効を主張することは出来ないと判示


取り上げ損ねていた少し前の判例を扱います。

譲渡禁止特約のある債権を譲渡した譲渡人が後からその特約の存在を理由として譲渡は無効であると、譲受人に対して主張した事案で、最高裁は特段の事情がない限り無効を主張することは許されないと判示しました。

最高裁判所第二小法廷平成21年03月27日判決 平成19(受)1280 供託金還付請求権帰属確認請求本訴,同反訴事件

原審は譲渡人からの無効主張を認めていました。これは無効は絶対的であるという理解に立っていると思われます。

これに対して、最高裁は譲渡禁止特約は債務者の利益のためのものであり、譲渡人である債権者は自ら譲渡した以上無効主張する独自の利益はなく、無効主張は許されないとしました。

自分で譲渡しておきながら後から実は無効だと言い出すのはいかにも信義則に反しますので当然の判断でしょう。信義則ではなく独立の利益がないという言い方をしているところに注意がいりますが。

債務者が無効主張をする意思がある場合は特段の事情があるとしており、譲渡人による無効主張は一切認められないわけではないことも明らかにしています。これは錯誤無効の債権者代位による主張とパラレルな考え方と思われます。

本件においては債務者は債権者不確知を理由として供託しており、特段の事情はないとしています。

以上から、独自の利益がなく特段の事情もないために主張は認められないという結論になっています。

本件では譲渡された債権は建設請負の報酬債権なのですが、定形的な約款を用いており譲渡禁止特約がついている債権も多いのが現実です。世間的には譲渡が禁止されている債権がかなり多いわけですが、債務者の意向によっては特約のとおりの現実にはならないということになります。公共工事の報酬債権などを考えると、意義がそれなりにありそうな判断だと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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