相模鉄道で会社分割を用いての鉄道事業の分社化をめぐり、労働組合が労働協約に基づく同意権を主張


相模鉄道が会社分割を用いて鉄道事業を分社化することを目指して、労働組合との事前協議を行っていますが、労働組合のうちの一方の相鉄労働組合が労働協約に関する争点について折り合えず、26日にストライキを構えるという事態になっています。

相鉄は神奈川県労働委員会にあっせんを申請しましたが、相鉄労組はこれに応じず、こう着状態が続いています。

神奈川県労働委員会に対するあっせん申請に関するお知らせ

相模鉄道労働組合のストライキについて

相鉄労組の主張は、会社側のリリースによると、労働協約で労働条件の変更にかかるないように関しては事前協議するという規定があり、それは事前に組合の合意を要するという意味であり、会社分割にも同じく組合の合意を要するというもので、合意するまで会社分割の手続を会社は進めることは出来ないというもののようです。

会社分割も労働協約の必要な事項に該当するので組合の合意が必要だということのようです。

しかし、事前協議という文言から、合意するまでが必要であるという解釈にはそもそも無理があります。

また、本来なら民法625条1項より、労働者の個別の同意が必要になる労働契約の使用者の変更を、個別の同意を不要とすることを実現するために会社分割が立法されたという経緯を考えると、会社分割に関して定めた労働協約を締結しているならまだしも、会社分割立法前からあるであろう普通の一般的な労働協約が、新しい立法を無意味にするというのはおかしな話です。

よって、労働組合に拒否権があるというような見解にはかなり無理があると思われます。

ちなみに最初に相鉄のリリースを読んだときには、組合はいわゆる労働契約承継法の7条措置について組合と行うときは組合の同意がいるのだと主張しているのかと思ったのですが、さすがにこれは無茶であるせいか、労働協約が適用されるのだという主張をしていました。

労働契約承継法

第7条(労働者の理解と協力)

分割会社は、当該分割に当たり、厚生労働大臣の定めるところにより、その雇用する労働者の理解と協力を得るよう努めるものとする。

会社分割に関する労働問題は、IBM事件などが明るみにでたくらいで、あまり多くの事例がなく、しかも事後的に紛争になっているものが主です。本件は総会決議の前の手続段階における労使間紛争であり、貴重なケースであるように思えます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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