株券電子化で株主提案に逆風


株主総会シーズンですが、今年の株主総会の特徴についての日経の連載記事にのっていたのですが、今年は株券電子化後の最初の株主総会ということで、株主提案が手続き的にやや面倒になり証券会社の不慣れもあって混乱していることが伝えられました。

株券電子化で株主提案をするには、株主が個別株主通知というものを証券会社に頼んで会社に送ってもらう必要があることになりました。

社債、株式等の振替に関する法律

第154条(少数株主権等の行使に関する会社法の特例)

振替株式についての少数株主権等の行使については、会社法第百三十条第一項の規定は、適用しない。

2 前項の振替株式についての少数株主権等は、次項の通知がされた後政令で定める期間が経過する日までの間でなければ、行使することができない。

3 振替機関は、特定の銘柄の振替株式について自己又は下位機関の加入者からの申出があった場合には、遅滞なく、当該振替株式の発行者に対し、当該加入者の氏名又は名称及び住所並びに次に掲げる事項その他主務省令で定める事項の通知をしなければならない。

一 当該加入者の口座の保有欄に記載又は記録がされた当該振替株式(当該加入者が第百五十一条第二項第一号の申出をしたものを除く。)の数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項

二 当該加入者が他の加入者の口座における特別株主である場合には、当該口座の保有欄に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該特別株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項

三 当該加入者が他の加入者の口座の質権欄に株主として記載又は記録がされた者である場合には、当該質権欄に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項

4 加入者は、前項の申出をするには、その直近上位機関を経由してしなければならない。

5 第百五十一条第五項及び第六項の規定は、第三項の通知について準用する。この場合において、同条第六項中「第三項及び前項」とあるのは、「前項」と読み替えるものとする。

今までは特に必要なかったのになぜと思われるかもしれませんが、上記の154条1項のとおり、会社に対する対抗要件が異なるからです。これまでは会社法に定めのあるとおり株主名簿が対抗要件だったのですが、電子化によって振り替え株式になると、株主名簿の役割が小さくなってしまい、振替機関の通知が大きな役割を果たすようになるためです。会社法の条文では株主名簿がすべてになっているので分かりにくいですが、どういう株式かによって対抗要件が異なって定められており、教科書では「社債、株式等の振替に関する法律」に触れてきちんと書かれています。

さて、このように対抗要件が変わってしまったので面倒になったということ、そして証券会社の方の事務もはじめてということもありスムーズではないといったことがあるようで、今年の株主総会の株主提案は例年に比べて低調になっているとのことでした。

この問題は予想されたので一応対処されており、株主提案権の権利行使期間を2週間から4週間に伸ばす振替法施行令の改正が行われているのですが、それでもやはり株主提案権行使を断念する例がある程度でてしまったそうです。

このような問題は今年限りだと思われますが、上場会社の株式について対会社の対抗要件が一斉に切り替わり、会社法の原則がそのまま適用されるのは専ら閉鎖会社などに限られることになった点などはきちんと確認しておきたいところです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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