金融庁、金融審議会スタディグループ、我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告案を公表


昨今の コーポレートガバナンスには色々な問題がありますが、色々なところで同時並行的に検討が行われています。その成果はソフトローとなって一部成果をあげていることは、先日の牛角事件最高裁決定でも伺われるところです。

それらのうち、投資の観点から検討している金融庁の金融審議会のスタディグループの報告案が公表されました。

第23回我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ議事次第

金融審議会 我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告(案)~上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて~

この報告案は金商法と会社法の交錯するような領域における昨今の問題点を整理したもので横断的な内容になっています。もっとも対策や提言についてはあまりなく、整理の色彩が強いものです。

問題点は大別して3つの分野について整理がされています。

  • 資金調達
    • 新株発行
      • 第三者割当増資
      • 希釈化・支配権の移転を招く第三者割当増資
      • MSCB
      • 当局と取引所の連携強化
    • キャッシュアウト
    • グループ化
    • 子会社上場
    • 株式持合い
  • ガバナンス
    • 取締役会
    • 監査役の機能強化
    • 社外取締役・監査役の独立性
    • 監査役の選任議案・報酬の決定権
    • 役員報酬の開示
  • 機関投資家の議決権行使

最近、問題となっていることが目白押しなのですが、いくつかの点についてのみ言及しておきたいと思います。

キャッシュアウトについてなのですが、案では日本では特別決議の3分の2さえ取れればキャッシュアウトが出来て、諸外国の9割程度を要するのと比べて低いという指摘がありました。

日本の会社法でも略式合併は90%の議決権を要することになっているので同じはずなのですが、全部取得条項付種類株式の活用で対価をいじってしまい単位未満株主になるようにしてしまえば現金処理が出来るので事実上ハードルが下がっているということを指摘しているわけです。

すでに牛角事件など複数おきてきていますが、MBOの事例で株主に脅迫的に作用したTOBが見受けられるように思われます。

これに対処するのが株式買取請求権ということになりますが、色々と問題が多く使い勝手が重文が疑問があります。

牛角事件最高裁決定では株主にとって朗報になりましたが、価値を決めないといけないわけで鑑定の問題等は依然として残っているといえるでしょう。このいばらの道があるとするとTOBに応じざるを得ない判断になるかもしれません。

この辺の問題は、運用で何とかなるように思えるので、会社法を大規模にいじることまでは必要はないように思えますが、株主の権利を迅速に救済できる体制が整っていないと、少数株主をないがしろにする事例が相次ぐことになってしまいかねないことが痛感されます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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