最高裁、レックスHDのMBO時に反対株主の株式買取請求権が行使されたことに伴う価格決定の申立てで、レックス側の許可抗告を棄却


牛角などを経営しているレックス・ホールディングスが2006年にMBOをして非公開会社になった際に、TOBに続いて定款変更などを組合せて普通株式を全株取得条項付種類株式にして取得対価を1株未満の普通株式にする方法でTOBに応じなかった株主を追い出して100%取得を実現しました。

この際に反対株主に株式買取請求権が生じて、行使されましたが、会社との協議では公正な価格とされる買取価格について合意することができず、価格決定の申立てが東京地裁に申し立てられていました。

会社側の1株23万円の主張に対して、東京地裁はその価格を妥当としましたが、東京高裁は33万円の決定を行いました。

このたび、レックス側からの許可抗告を最高裁が棄却したために1株33万円で決着することになりました。

最決平成21年5月29日←アドバンテッジ被害者牛角会ホームページへのリンクです。リンク先に決定全文へのリンクがあります。直接リンクできなかったので迂遠なことになっておりますがご了承ください。

MBOの買い取り価格、レックスの抗告棄却 最高裁(日本経済新聞2009年5月30日)

「牛角」などを展開するレックス・ホールディングスの経営陣による企業買収(MBO)をめぐり、株主らが株式買い取り価格が低すぎるなどと申し立てていた許可抗告審で、最高裁第三小法廷(近藤崇晴裁判長)は29日、レックス側の許可抗告を棄却する決定をした。1株約33万円を公正な価格とした東京高裁決定が確定した。最高裁が会社法に基づく株式の買い取り価格について判断を示したのは初めて。

レックスは2006年11月にMBOを発表し、買い取り価格を23万円と設定。レックスは06年8月に業績予想の下方修正を発表しており、株主らが「発表で急落した株価を基に価格を決めており不当」として裁判所に適正価格の決定を申し立てていた。

東京地裁はレックスの提示価格を妥当と判断。株主側の抗告を受けた東京高裁は、下方修正について「MBO実施を念頭に、決算内容を下方に誘導することを意図した会計処理がされたことは否定できない」として、適正価格を約33万円に引き上げた。(00:33)

株主が問題としていた会社のMBO実施前にわざと下方に業績を誘導したことも考慮して価格が決定された判断が最高裁で維持されたことになり、この点において意義があると思われます。

しかし一方で、鑑定等で株主に金銭的な負担を強いるなどの問題点も指摘されて、最後の砦だとされる株式買取請求権の存在意義に大きな疑問がついた一件でもありました。今後は経済情勢を反映して再編のためのMBOも起きてくる可能性がありますが、株主の犠牲の上に実行するようなことのないように工夫が必要だといえるでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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