経済産業省、社外取締役の設置義務付けを見送り


最近の日経朝刊の法務面でも取り上げられましたが、経済産業省は上場企業に社外取締役の設置義務付けを目指していました。しかし結局、設置義務付けは見送られることになりました。

経産省、社外取締役設置義務化を見送り 経営監視策求める(日本経済新聞2009年5月26日)

経済産業省は、上場企業のコーポレートガバナンス(企業統治)向上策として検討していた社外取締役の設置義務付けを見送る方針を固めた。設置は任意のままとするが、設置しない場合は独自の経営監視制度を導入するよう求める。2008年末から義務付けを検討してきたが、日本経団連などが「機能しているかどうか疑問がある」などと反対していた。
日本では現在、欧米型の委員会設置会社を採用した企業に社外取締役導入を義務付けている。上場企業のほとんどを占める監査役設置会社については社外取締役を義務付けておらず、外部監視機能強化が課題となっていた。

日本で従来から言われてきた反対論は、社外取締役の候補者がいないというものなのでした。やったことがないのでいるわけないのは当然といえば当然でした。

現在は監査役設置会社でも任意で導入している例は多いと思いますが、そのうちに人材の蓄積がなされたら、義務付けるような土壌が出来るかもしれません。

社外取締役をガバナンスの中心としているアメリカでもガバナンスはしっかりしていたわけではなかったことが明らかになってしまった今日ですので、義務付けの方向に持っていくのはそもそも雰囲気としても無理だったのでしょう。

ちなみに社外取締役というのは、部外者であることを意味しません。当該会社から見てその会社の役員であるかその会社の子会社の役員ではないことと定義されています。

第2条(定義)

十五 社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。

このような定義から行くとなおさら、義務付けてもあまり意味がないことになりましょう。

ちなみにこの定義のおかげて、子会社の役員に親会社役員を登用することで子会社に委員会設置会社の形態をとることが良くあります。委員会設置会社は役員等に関して最低3人の取締役だけいればいいので、役員の人数を少なくすることが出来るからです。委員会設置会社はガバナンスとは別の観点からよく利用されているのが現状なので、社外取締役をガバナンスの観点から義務付けようというのにもやはり無理があるといえるかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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